【AWS Ambassador Global Summit 2022】シアトル出張#6 Summit 最終日と帰国日を迎えました

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カスタマーサクセス部 佐竹です。
シアトルに来て7日目の本日は AWS Ambassador Global Summit 2022 最終日です。最終日はサミットが半日で終わり、その後は AWSJ さんと日本のアンバサダーのみで行う振り返り会となりました。

はじめに

シアトル出張中、(ほぼ)毎日ブログを書くという今回のチャレンジ、1つ前の記事(6日目)は以下の通り福島さんが記載してくれています。

sabawaku.serverworks.co.jp

途中で3日目と4日目のブログを合体させた都合、日付と記事URLのナンバリングが1日ズレてしまっている点はご容赦ください。また、今回のブログも帰国日の内容も合わせて記載させて頂きます。

会場への移動

朝起きて、8:10 AM くらいから会場への移動が本日もはじまります。

Hilton Garden Inn Seattle Downtown

そういえば宿泊していたホテルの外観がなかったかな?と、撮影してみました。入口です。

町の様子

写真のようなビル群を通り抜けて、会場へ向かいます。

朝食

ブリトー

実は昨日からやたらと「メキシコ料理押し」になっているサミットの料理ですが、最終日の朝食はブリトー(ブリート)でした。私はメキシコ料理が好きなので非常に嬉しいのですが、このブリトーの味は飽きる感じでした💦

アジェンダ

アジェンダ

3日目のアジェンダは上記の通りで、当初は半日で完了する予定でした。

その中から今回は、「Amazon's Culture of Innovation」と題して Stephen Brozovich, Principal Evangelist, AWS HR さんが発表された内容について記載したいと思います。

Amazon の文化には学ぶことが多いと感じますので、是非皆様も会社文化形成のヒントにしていただければと存じます。

Amazon's Culture of Innovation

Amazon's Culture of Innovation

以下は、私が「良いな」と感じた場所をメインに記載しています。また内容が伝わりやすいように書き加えを行っている点もご容赦ください。

失敗するのに最適な場所

Jeff Bezos は 2016 年に株主に宛てた手紙に "We are the best place in the world to fail" と記載しました。Amazon は世界で最も失敗をするのに適した場所だ、と。

これは「イノベーションを起こすためには失敗が必要である」という前提から来ています。イノベーションを起こすためには、多くの失敗を許容し、受け入れていく必要があります

そしていくつも試した結果のうち、正しく成功した結果に対してさらなる実験を行っていきます。

ポリシー

少人数の組織であれば、組織にポリシーを定めなくても密接な連携により正しくワークするでしょう。しかし、全ての重要な決定を行う打ち合わせに出られない場合、どうすればいいでしょうか?これは拡大する組織では必ず起きる問題です。

繰り返しの中にパターンが生まれます。そのパターンを書き留めて、まとめるわけです。まとめて本になったものが「ポリシー」です。ポリシーがあれば、優先順位がコンフリクトを起こしたような状況でも迷わず意思決定が可能です。

また、何をやればいいかと悩んだときに、同僚に質問して時間を貰うことで、結果的に「組織の勢いを殺してしまう」ようになることもありません。

ここから、Amazon の Leadership Principles を説明します。

Customer Obsession

「Customer Obsession」 (顧客への執着) です。

※obsession は「ある一定の事柄ばかり考えていて、それが頭から離れない」という状況を示す単語です

これは customer centric (顧客中心) でも customer focused (顧客に焦点が合わせられた) のどちらでもありません。obsession なのです。

Customer Obsession
Leaders start with the customer and work backwards. They work vigorously to earn and keep customer trust. Although leaders pay attention to competitors, they obsess over customers.

通常、企業は自社にできることを考え、その結果をもって製品を作り、ターゲットセグメントを決定します。これはその逆です。

質疑応答より

Customer Obsession を考えるにあたり「我々にとって、顧客が一体誰なのか?」を考えることも非常に重要です。

Ownership

リーダシップの原則は「オーナーシップ」と呼ばれます。我々にとって leadersowners です。

Ownership

Ownership
Leaders are owners. They think long term and don’t sacrifice long-term value for short-term results. They act on behalf of the entire company, beyond just their own team. They never say “that’s not my job."

短期的な結果のために、長期的な結果を犠牲にしないよう思考します。

そして、「それは私の仕事ではない」とは決して言いません。組織において、顧客は自分が直面しているトラブルが「誰の仕事なのか」とは考えません。顧客は私たちが対処すべき問題をただ抱えているだけなのです。

ですから、過ちを犯したのは誰なのかなどを突き止めようとして多くのエネルギーを無駄にしないようにしましょう。

質疑応答より

仕事が誰のものであるのかはあまり重要ではありません。誰がその仕事を最もうまくやり遂げられるのか明らかにする方が重要です。

類似の話をしてみると、アメリカの住宅所有者は、借り入れにより資金的にはそのほとんどを銀行が所有していることになっています。しかし、家の保持には芝刈りや故障した機械の修理など、様々な対応が必要になります。

「They never say “that’s not my job."」とは、イコール「目の前のことを全て自分で対応しなければならない」ということではありません。なので、誰が最終的な責任者であるかを把握することはそれほど重要ではなく、誰がその仕事を最もうまくやり遂げられるのかが重要なのです。

Are Right, A Lot

判断は、時間をかけて意図的に構築するものです。読んで、吸収して、学ぶ、それだけでは十分ではありません。十分なデータがない判断を下さなければならない場所がたくさんあるからです。

ロジックではなく、実際には直感に基づいて行動する必要があります。そのため、優れたリーダーは、データがない場合の正しい決定について、誤差調整や直感に時間を費やしてきました。

Are Right, A Lot
Leaders are right a lot. They have strong judgment and good instincts. They seek diverse perspectives and work to disconfirm their beliefs.

全てのリーダーには盲点があります。自分への否定が必要です。より良い答えにたどり着く唯一の方法というのは、自分が間違っている可能性を喜んで考慮するかどうかです。

通常、私たちはまず何かを信じることから始め、その後に「自分が信じていること」について気分がよくなる(それを補強するような)証拠を探します。Amazon ではそうではなく「反対意見」を探します。これが実行されるために、様々なバックグランドを持つメンバーが必要です。

私たちは、機械が人間よりも一貫して適切な命令を実行できるように自動化しました。そして、答えのわからない厄介な決定にはすべて人間が必要です。そこで、これらの原則が役立ちます。

Invent and Simplify

これまで話をしてきた 3 つがどのように発明とイノベーションに関与しているか話しましょう。

Invent and Simplify
Leaders expect and require innovation and invention from their teams and always find ways to simplify. They are externally aware, look for new ideas from everywhere, and are not limited by “not invented here." As we do new things, we accept that we may be misunderstood for long periods of time.

チームから、常に簡素化する方法を見つけてください。革新し続けることは、全員の仕事です。外部からでもどこからでも新しいアイデアを探してきます。“not invented here." という制限は受けません。

エンジニアリングに携わったことのある人なら誰でも、誰かが既に作成したシステムを再構築するのをやめるよう誰かを説得しようとするのがどれほど苦痛であるかを理解しています。

そして、私たちは新しい何かを行うとき、長期間にわたって誤解される可能性があることを受け入れます。

先に述べたように、新しいアイデアにはこれを行うべきではない多くの論理的な理由が得られます。多くの懐疑論があります。その懐疑論は組織内から来ています。Kindle を立ち上げたとき、私は Amazon にいました。そして「私は一体何をしているのだ」と思いました。

Amazon は、当時デバイス事業を行っていませんでした。自社の歴史の中で、消費者向けハードウェアを構築したことはありませんでした。では、なぜ私たちは Kindle を試みるのでしょうか?電子ブックリーダーを作ろうという試みはすでに 2 つあり、そのうちの 1 つは SONY によるものでした。そして、それは商業的な失敗を既にしていました。

本を売ることは、私たちの主な収入源でした。なぜ私は、主な収入源の排除を目的としただけのデバイスを作り上げる必要があるのでしょうか?意味がないように思えます。

当時の、多くの買い物をする顧客について、永続的な真実は何でしょうか?5 年後も 10 年後も、購入者は Amazon を頼りにするでしょうか?

永続的な問題は何でしょうか。あなたはもっと本を読みたくなるでしょう。すべての本愛好家が十分ではないと感じています。物理の本は重く、場所を取ります。そこに物理的な本があるという事実を回避する方法はありません。

したがって、読者にとってのこの永続的な問題を解決する唯一の方法は、顧客が気に入る本をデジタル化する方法を見つけることです。

最初に作った Kindle デバイスにデータプランを追加しました。それもクレイジーなことに、2007年にサービスを開始しました。そして、私たちは今日でもその第 1 世代の携帯電話料金を支払っています。なぜそんなことをするのでしょうか?

顧客の永続的な問題を解決することを手伝っているのなら、彼らは何度でも戻ってくるでしょう。それが我々の見解です。

※この後 Fire Phone の失敗についての話がありましたが割愛します

Two-way door

組織が把握しておくべきことは、「失敗した実験」が「誰かのキャリアに悪影響を与えること」を決して許さないことです。それを許せば、組織全体に「新しいことに挑戦しないでください」という強烈な信号を送ることになります。自分のレーンに留まり、目標と目的を設定するだけで準備完了、となってしまいます。

では、どうすればよいでしょうか?人々が進んで実験を試みるために必要な心理的安全性をどのように提供するのでしょうか。そのために役立つと思われるいくつかのアプローチを紹介したいと思います。

Two-way door

1 つ目は、質問を再構成することです。決断するときに自分に問いかけてみます。この決定は「一方通行のドア」か、それとも「双方向のドア」か?

取り消しのつかない重要な決定が「一方通行のドア」だとすれば、「双方向に行き来できるドア」はスピーディに試して結果を確認した後すぐに戻ってこれるドアです。

一度決定した後二度と戻ってこれないワンウェイドアを通過する場合、判断は慎重になります。それとは異なり、ツーウェイドアではすぐに戻ってこれることから素早く通過できます。

Working Backwards

Working Backwards は、アイデアが思いついたとき、製品が既に発売されているかのようにプレスリリースを作成することであり「仮想的なプレスリリース」です。そこには、想定される FAQ をも記載します。

このアイデアはいろんな人からチェックされ、その中で変容していきます。誰かの手が入ったとき、それは一体誰のアイデアなのでしょうか?

※この「誰のアイデアになるのか」という話は「責任を問わない」ということと繋がっているような気がして、良い話だなと思いました

この後も有名な Two-Pizza Teams 等、いくつかの文化について話がありましたが全て書くと膨大になるためこのあたりで一旦終了にしたいと思います。

私の感想

これらの規範を、誰もが行えるように文章にして配ってあるというのが非常に大きいと思いました。

文章化されるまでには、幾重もの段階が必要になります。それはたった1人で記載するブログですら非常に面倒な作業であり、それを複数名で、それこそ会社の文化について記載するとなると膨大な時間がかかるでしょう。というかは、途中で嫌になるかもしれません。文字を増やすことは比較的容易ですが、重要なポイント以外を削ぎ落すのも大変です。

それでも Amazon は、全従業員が同じ目線で物事の判断ができるよう、それに時間を多く費やしていることが伺えます。

日本では「問題を指摘した人がその解決をさせられる」「失敗したら攻められる」「何かあると責任の所在を明らかにさせられる」ということが多い気がします。これらは何のためにやるのでしょうか?これをやることでお客様の問題が解決するとは、私にはあまり思えません。

今回聞いた話は「そうそう、そうなると良いんだよなあ」と思わされる一方、これを「浸透」させることが非常に難しいことも同時に痛感してしまいました。

対するは「文化」です。文化は個性でもあります。遠回りでもその国や地方を示すインデックスです。日本企業の良いところを残しながら、どうすればこれらの内容をうまく社内に持ち込めるのか?少し考えて行動してもみたいと思いました。

少し補足すると、Amazon の文化が最高で「これを受け入れられない日本企業はだからダメだ」みたいな 0 か 1 かみたいな考えはあまり適切ではないでしょう。何事にもメリットとデメリットがあります。良いところを探せばそれが見つかり、悪いところを探せばそれが見つかります。大事なのは、もとからある文化との共生だと思います。完全に文化を排除してしまえば、もはやそれはその会社ではないでしょう。極論に陥らないように注意が必要です

ランチボックス

ランチ

お昼ご飯はかなり早めの 11:00 AM 頃に配られました。

ランチボックス

中はこんな感じです。私は朝食でお腹いっぱいだったので、ランチボックスは遠慮しました。

ランチボックスを受け取った後は、日本のアンバサダーで会議室を借りてディスカッションタイムとなります。

日本のアンバサダーでの振り返り会

振り返り会

アンバサダー内では参加者の中で、事前に「持ち回りでセッションを担当して要約を発表する」ということが決まっていました。私は、先に記載したブログにあった「セキュリティの1日目」のセッション担当でした。

発表をする私

写真は AWSJ の大林さんに撮っていただいたものを使いました!

振り返り会自体は、本来はもっと早く終わる予定だったのですが、1:30 PM くらいまで続き、参加者全員のモチベーションの高さがうかがえました。

また、この会でも参加者からかなり刺激を貰いました。特に、リアルタイムで英語の質疑応答を聞き取っていた方々の会話に「そんなこと言ってたんですね」という周りからの賞賛が集まっていたのが印象的でした。

サミット終了!

サミットが終わった後は、各自が思い思いの場所に観光に行くなか、私は最寄りの Apple に向かいました。

Apple University Village

実は渡米後、毎日のようにアップルストアで iPhone 14 Pro の在庫を漁っていたのですが、全然在庫がなく途方にくれていました。もうあきらめようと思っていたのですが、なんと最終日に当日ピックアップが可能な在庫が見つかり、すぐに押さえたというわけです。

14 Pro

ちなみに価格は、円安のせいもあり「日本が最安値」です。ですので、日本で買ったほうが良いです。それにアメリカ版は「eSIM のみ」という鬼仕様なので、日本ではなかなか使いにくいかもしれません…(買ってから気付いたが?)。

なお、Apple University Village まではケチって電車でいきました。

Directions

電車に乗って北上した後は U District Station で降りて、ひたすら東に歩くだけです。余裕です。ワシントン大学が近いので、学生さんが多いです。ちなみにホームレスもそこそこいらっしゃいました。

Pioneer Square Station

帰りの電車は、Pioneer Square Station で下車しましたが・・・ここのあたりの街は空気の感じからもう「これはダメだ」感がすごくて、すぐに出ました。危ないところは、本当に危ないです。

The Crab Pot Seattle

5:30 PM 頃に全員が再度集まり、カニを食べました。

The Crab Pot Seattle は (多分) 初

2人前から注文が可能です。高いです。そう、円安です。でもこういう時は遠慮せず・・・

運ばれるカニたち

料理が到着するまでちょっと待つので、ビールを頼んで談笑していたらカニが来ました。カニだけじゃなく、エビも、貝も、トウモロコシもあります。

多すぎでしょ

注文したものは机の上に全部ひっくり返されて食べるスタイルでした。これを木槌でぶっ叩いて割って食べます。最初から切れ込みはあるので、そんなに辛い作業ではありませんが、手がどろどろになりますね~。

もちろん全部は食べきれませんでした!!

このように、最終日は日本人だけの集まりを堪能して終了となりました。

最終日

最終日は移動のみのため、サクッとこちらに記載してシアトル出張ブログを終わりにしたいと思います。

スターバックス

朝食を食べに、近くのスターバックス、それも「SEATTLE ROASTERY」に行きました。

Cold Brew Trio Flight

どうしても飲んでみたかった Whiskey Barrel-Aged グアテマラが Cold Brew Trio Flight に入っていたので、これとサーモンのブリオッシュサンドイッチを頂きました。お値段、これで合わせて $24.26 です。参考まで。

最後の朝食

このコールドブリューの Whiskey Barrel-Aged がもうめっちゃくちゃ甘くて美味しかったです。買って帰れるバッグ(コーヒー豆)の値段は $42 でしたが、これを家で美味しく淹れられる自信がないので買いませんでした!

フライト

機内から

お土産買ったり、AWSJ や他社の皆さんと再度話をしたりと結構楽しく過ごしていたせいか写真が全然なかったので、機内から見た雲の様子をご覧頂きこれにてシアトル出張のブログを終えたいと思います。

〆の挨拶

AWS Ambassadors of Japan

シアトル出張は自費での宿泊となった前入りの4日間から、サミットがはじまってからの4日間で、合計8日間(7泊9日)の出張となりました。ブログの数は本ブログを入れて7つとなり、全て読んでくださった方には感謝しかありません。

また、現地では様々な方のご助力を受け、また刺激を受け、佐竹福島両名ともに大変感謝しております。特に AWSJ さんの手厚いサポートなしにはこの達成感は得られませんでした。同時に前入りして、一緒に山にも行った BTC 熊谷さんには再度「ありがとうございます」と書かせてください。

AWS Ambassador になって初めて他の Ambassadors に対面でお会いするのがシアトルだったこともあり、多くの刺激を得ました。また海外という地でより日本人同士の結束も強まったのではないでしょうか。今後も Ambassador 同士のコラボレーションをしていきたいという意見が多く出ました。

最後に、これらのブログが AWS に携わる全ての方のちょっとしたモチベーションアップにつながれば、これほど嬉しいことはありません。

シアトル出張 2022 の全ブログリンク

準備編:担当福島

sabawaku.serverworks.co.jp

1日目:担当佐竹

sabawaku.serverworks.co.jp

2日目:担当福島

sabawaku.serverworks.co.jp

3日目/4日目:担当佐竹

sabawaku.serverworks.co.jp

5日目:担当佐竹

sabawaku.serverworks.co.jp

6日目:担当福島

sabawaku.serverworks.co.jp

7日目/8日目:担当佐竹

sabawaku.serverworks.co.jp

では、またお会いしましょう。お読みいただきありがとうございました。

佐竹 陽一 (Yoichi Satake) サバワクブログの記事一覧はコチラ

マネージドサービス部所属。AWS資格全冠。2010年1月からAWSを利用してきています。2021-2022 AWS Ambassadors/2023 Japan AWS Top Engineers/2020-2023 All Certifications Engineers。AWSのコスト削減、最適化を得意としています。