はじめに
サーバーワークスでは2022年度から、インテグレーションや運用代行の業務に従事する予定の中途入社のエンジニア向けにインターナルエデュケーション課という部門で、4ヶ月の中途トレーニング研修が実施されています。
私の経歴としては12年ほどオンプレミスのITインフラストラクチャの設計・構築・維持管理業務に従事しておりましたが、ご縁があり2022年11月にサーバーワークスに入社いたしました。
私は、インテグレーション部門配属を希望しておりましたので、この中途トレーニングを受講することとなりました。 そのトレーニング振り返って、取り組みの内容と大切にしたいと思ったことをお伝えいたします。
中途トレーニングの必要性について
本題に入る前に、中途採用は即戦力なのにも関わらずなぜ、4ヶ月の期間をとってトレーニングをするのか?についてですが、これは即戦力として雇った人員を、現場で本当に即戦力として機能するように訓練し、かつ現場部門の教育負荷を減らすためです。
中途採用者が様々なプロジェクト従事経験や技術的な知識があったとしても現場に入れるだけでは、業務を進める上での個々の作業・自社サービスへの理解が十分でないことがほとんどです。 配属された当人にとっては自分の実力が発揮できない状況で、配属受け入れの担当にとっては教育の負荷が出てしまい、想定より多く稼働しなければならないなど、お互いが不幸な状況になるため「サーバーワークスで働くこと」を、現場に出る前に集中的にキャッチアップする期間を設けているわけです。
「サーバーワークスで働くこと」とは、例えばプロジェクトを回すための必要な社内上の申請を覚えるといった仕組みのことから、困った時はslackで気軽に聞いても大丈夫なことを理解するといった文化的な側面の話もあります。
中途トレーニングの特徴
中途トレーニングでは自社サービスメニューを覚えるといった座学もありますが、最も特徴的なのは、トレーナー陣が顧客役になって、プロジェクト推進をトレーニー自らが行う形態のトレーニングです。
机上で学ぶだけではなく、プロジェクト完遂のため、顧客へのヒアリング、設計、構築、納品ということを実施するので、プロジェクト推進に必要なことを実際に経験します。 これにより、顧客とのやり取り、社内での決まった申請ごとなどが現場に配属される前に"一度はやったことがある"状態になるため、現場に着任後は"どのようにしてプロジェクトを効率的に進めるか?"という観点からスタートできるようになります。
また、顧客役から技術的な疑問(AWSの仕様についてなど)、設計上の疑問(なぜこのパラメータ値なのか)などのエンジニアとして回答するものからプロジェクトの期限日の交渉などをプロジェクトマネージャーとして対応するものもありエンジニアとしてだけではなく、顧客とどうやってプロジェクトを推進していくのか?ということを自分で考えたり、人に聞いたりして進めていくことで現場のシチュエーションに慣れることができます。
他の特徴としては、インテグレーション業務と監視・運用代行の受入業務も同時に学ぶカリキュラムとなっており、「作ること」と「維持管理すること」を同時に学ぶことによりそれぞれの業務の仕組みやリードタイムを理解することにより、お互いの業務でどういった点で困るのか?どこに相談すればよいのか?ということが理解できるようになります。
また、プリセールスに関するトレーニングもあり、顧客役から送られてきた数十行の要望のテキストからどういった形で提案として形にしてに持っていくのかを試行錯誤するものもあり、営業役と相談しながらどうやって形にするのか頭を捻りながらやることが多々ありました。
ここでは主に特徴的な部分を取り上げましたが、中途向けトレーニングのカリキュラムの狙いや内容については、弊社鎌田のブログもご一読いただけると幸いです。
今後も大切にしたいこと
私自身のプロジェクト運営のスキルやAWSのスキルがどう評価され、どう改善すべきかということより もうちょっと抽象的な観点で2点大切にしようと思ったことを記載します。
1. 前向きであり続けること
12年ほどIT業界で働いており、テクノロジー的な部分やプロジェクト運営といったことは経験があったつもりではありましたがやってみるとうまくいかないことが多々ありました。 ただ、こういった問題点を現場に出る前に認識しておくことで、現場配属時にそういったことが得意なメンバーの真似をする、フォローの依頼をする、得意分野でカバーするなど色々な対策ができます。
失敗することや課題があることは認め、思い悩んで立ち止まったりするのではなく、どうやって改善していくかカバーするのかという前向きな姿勢であり続けることが大事であると学びました。 また、会社としてもそういった姿勢を推奨していることを強く感じました。 これはトレーナーからのフィードバックだけではなく、全社の打ち合わせや個々の会議・雑談からも感じることができ、安心して業務に取り組むことができると考えています。
2. みんなで助け合うこと
設計書に既定で書いてあった値の根拠は何か?その設定する意味は何か?このサービスはなぜこうなっているのか?など顧客に聞かれて改めて、冷静に考えてみると自分自身では考えてもわからない質問が多々あったと記憶しています。 この時に一番頼りになるのが、社内の有識者でした。各サービスの担当窓口の方に回答いただき、また技術的な話ではあるがどこに聞いていいかわからないものについては、技術質問専用のチャンネルで聞いたりすることで、答えていただけました。
特にリモートワークの時代なので、どうしていいか迷った時に頭を抱えがちですが、課題があれば部署関係なく対応・課題回答しようという姿勢があるので、私もそういった協力し合う姿勢を大切にしようと思いました。
まとめ
始まる前は4ヶ月って相当長いなと思いましたが、全くそんなことはありませんでした。
顧客対応、設計レビューのリードタイムなどなど、調整する要素が多くどれか一つでも掛け違えると顧客調整、社内調整が必要となり非常に緊張感があります。 このため、AWSのテクノロジー知識だけでうまく進むものではなく、顧客の中にある知識との対比などをして理解・納得してもらう工夫をしながら進める必要があります。
楽なトレーニングかというと、正直そんなことはありませんでした。 既定路線の質問・答えはなく顧客役とのコミュニケーションやトレーナーからのアドバイスを受けて、落とし所を見つける(答えを設定する)という取り組みなので、七顛八倒することになりました。
しかし、サーバーワークスの社員はインターナルエデュケーション課のトレーナーだけではなく、直接教育に関わってない部門の人も協力的ですので、一歩ずつ前に進んでいる感覚はありました。 今後の業務にあたっては、自分自身がどれだけ前向きで、かつ積極的に協力し合える姿勢があるのかというのが大事なポイントではないのかなと思っています。
三好 寿幸(執筆記事の一覧)
ネットワーク関係とセキュリティ関係に興味があります