フルリモートで全社キックオフを開催しました!総勢150名を超えるメンバーが参加し、アンケートでは全体の93%が「満足した」と回答したイベントを運営するために工夫したこと、苦労したことをまとめます。
リモートでの全社向けキックオフなど、社内イベントを企画運営する方たちの参考となれば嬉しいです。
この記事ではZoomウェビナーを使った、キックオフ第一部のことを中心にお伝えします。 第二部のRemoを活用したコミュニケーションイベントについては、別記事を執筆予定です。
キックオフとは
サーバーワークスのキックオフは半期ごとに年2回実施しています。全社員参加を前提としたイベントです。いろいろな拠点ではたらくメンバーが一同に集結し、リアルに交流し熱量を高めるイベントでした。
しかし、このような状況です。今年3月からは発表者を除く参加者はリモート参加とし開催しました(発表者は距離を保ちつつ配信場所であるオフィスへ集合)。
そして今回(9月開催)は発表者も含めて全員が完全にリモートで参加する形式となったのです。
なぜやるのか
キックオフの開催にあたって、目的とゴールを以下に設定しました。
会社全体および各部の戦略を共有し、各個下期の活動のベースとする(第一部)
オンラインにおけるコミュニケーションの敷居をさげるため、コミュニケーションをとることへの成功体験を積む(第二部)
ゴール設定は非常に大事です。全社キックオフは多くの会社がやっているため、なんとなく形になればそれなりの成果は得られます。しかし全員の数時間を費やす以上の効果を出すことが重要だと考えました。
運営がしっかりと目的とゴールを決めておくことで、イベント全体の雰囲気作りや、なにか懸念点や疑問が浮かんだときにも解決のベクトルが見出しやすくなります。
また、キックオフ開始直後の説明で「キックオフの楽しみ方」として、目的とゴールを噛み砕いて伝えるスライドも用意しました。
はじめて参加するメンバーも多くいます。キックオフはなぜやるのか、どういう気持ちで望めばよいのか、オンボーディング真っ只中のメンバーにとっては不安材料となることが多いと考えました。
最初の一歩をサポートする意味合いでも、参加ガイドラインを運営側から参加者へ明確に提示することは、一定の効果があると感じています。
既存メンバーとっては「キックオフ」というフレームワークは理解できます。ただ、実現の手段がフルリモートに変化しました。いままでとのギャップを抑えるという意味合いでも、シンプルなスライドを用意してよかったと思っています。
どうやるのか
実施したプログラムは以下のとおり。
第一部:振返りと戦略の発表
第一部は、経営陣や各部署の部長・室長が振返りと今期の戦略について話します。いわゆる上から下への情報共有です。
ツールとしてZoomウェビナーを利用しました。普段の業務ではGoogle Meetを使っていますが、新しいツールへのチャレンジという意味合いもこめてZoomウェビナーを活用することになりました。
第二部:コミュニケーション促進
第二部は、メンバー同士のコミュニケーション機会を増やすための施策です。横と横のつながりを濃くするためです。
ここではRemoを活用しました。普段の雑談や仕事の相談をよりしやすくするための施策として利用しはじめました。毎日活用しており、リモートワーク下でなくてはならないツールとなりつつあります。
工夫したこと
キックオフ企画運営のさいに、Howとして工夫した点は以下の3つです。
- クオリティをできる限り高くし、いつもとは違う感覚を味わってもらう
- スムーズな運営となるよう、事前の台本チェックやリハーサルを念入りに行う
- やりっぱなしにならないよう、フィードバックをもらうための準備まで事前に用意する
画面クオリティを高くする
すでにフルリモートで全社員が業務をすすめることが当たり前となっています。いつものミーティングと同じでは非日常のイベント感が薄れてしまってはもったいない。
キックオフは区切りであり、気持ちを新たにスタートする意味合いも強いイベントです。いかに「いつもと違うぞ」を感じてもらうかに注力しました。
リモートで参加者が得られる情報は画像と音声のみです。YouTubeをはじめとした動画コンテンツのクオリティに慣れていることを想定し、できるかぎり参加体験としての画面クオリティを高めることとしました。
- 配信ソフトウェアで画面合成したものをZoomで配信する
- BGMや効果音、オープニングやCM映像による演出をする
- 台本へ配信や運営のオペレーションをすべて書く
Ecamm Live(配信ソフトウェア)で画面合成したものを、Zoomで画面共有。 Slackへの投稿もリアルタイムで更新されるよう、iOS版の画面を取り込んでいます。
休憩時間に挟み込んだ提供画面
台本は以下くらいの粒度のものを5時間分作成しています。
困ったこと・苦労したこと
使い慣れないツール
普段使い慣れていないツールを選択したことによる苦労はありました。Zoomを全社的に利用するのははじめてであったため、クライアントソフトウェアのインストールから簡易マニュアルを作成しました。
運営メンバー側で、ブラウザ直接利用であったり、参加者側、発表者側、ホスト側と様々なOS環境でテストを実施しました。
しかし、画面レイアウトやデュアルディスプレイ表示機能など、クライアント設定ごとに異なる環境に対応ができず。ヒトによっては発表者の顔が見えない状態となってしまいました。
Zoomは映像や音声の圧縮効率に優れているため、いつもよりマシン負荷が低かったというポジティブなフィードバックもありました。
しかし配信側としても、Webカメラビューの解像度が強制的に落とされてしまったりと、初めて使うツールとしては準備時間が不足していたことが反省点です。
※Zoomのカメラビューの解像度下がる問題はギリギリまで調整が必要でした
ワンオペ配信
総合司会と配信をわたしがひとりでオペレーションしたことも課題です。ワンオペ自体はリハーサルのおかげもあって、そこまで大きなトラブルとはなりませんでした。
しかし、なにか起こったときのバックアップとしてはやはり司会と配信は分けたほうがよいですね。
配信スタジオ環境をわたしの自宅で作ってしまったため、後継者育成も今後の課題です。リモート環境かつ高品質な配信者をスケールできるようなする仕組みの構築に頭を悩ませています。
運営メンバーのマシン負荷やネットワーク帯域不足
運営メンバーは普段一緒に使うことのないツールを同時に使う必要が発生しました(Google Meetで運営会話、Slackはコメント用と運営発表者用、本番視聴用のZoom)。
これによるマシン負荷やネットワーク帯域不足となり、想定していた動きができなくなるパターンがありました。
タイムキーパー
対面でやる場合は、物理的なベルで残り時間を知らせることができます。リモートの場合、発表者はZoomのチャットやSlackなどのメンションに気づきづらいです。画面共有のために自身のPCは発表者ツールなどで埋め尽くされているためです。
運営側からベルの効果音をならしたとしても、環境によって音がほとんど聞こえない状況となりました(ノイズキャンセリング機能によってかき消された)。リハーサルでの確認がもれていたこともあり、時間をオーバーしてしまう発表がいくつか出てしまいました。
結果、事前に見積もったバッファを見事に使い尽くすことに。開始時間がずれてしまったプログラムもあり、一部の参加者には影響がでてしまいました。
事後アンケートでも多くのフィードバックをもらった部分です。次回以降は録画での対応や、リハーサルの徹底、発表者ごとのタイムキープのお願いなどを考えています。
みんなの反応は?
キックオフ当日にアンケート回答のお願いをしました。熱量を下げないためにも、終了後できる限り早いタイミングでアンケートを答えていただきました。
次回改善につながるフィードバックをもらうために重要なポイントです。
アンケートの結果
第一部では各発表者ごとの内容について、5段階の評価をしてもらいました。
回答のうち(1〜5まで)、4以上の高評価は全体の93%を占める結果となりました。自由記述箇所はKPTフレームワークに基づいて書いてもらっています。
Keepにおいて、運営側が設定したゴールをうまく達成できたと受け取れるものもあり、非常に嬉しかったです。
- 参加者を楽しませようという工夫と、スムーズに進行されていてとても良かったと思います!
- 移動コストがかからず、会もスムーズに進むため引き続きリモートでよい
- 発表者の転換をスムーズにするための工夫は、参加している全員にとって恩恵がある
それ以上に、たくさん改善のためのフィードバックもありました。運営の反省点としても非常に大きいところです。
- 時間を守って欲しい
- 発表時間がちょっと短いのでは
- 手元で資料を確認しながら聞きたかった
- 全体の時間として長くなってきたのではないか(部署もふえたため)
フィードバック(ネガポジの両方)において重要なのが、本質的なボトルネックがどこにあったのか、までをセットで考えることです。
アンケートの自由記述においては「こうしてほしい」「ここが問題だったとおもう」という回答となることが多いです。
しかし、もらった課題をそのまま受け止め直接的に改善したとしても、その改善のためにどこかしらでボトルネックを生むことになってしまうことが多々あります。これでは同じことの繰り返しです。
なぜそのようなフィードバックが生まれたのか、それらをどう解決することが全体としての成果につながるのか、という視点がフィードバックを受ける側のスキルとして非常に重要です。
とくに多くのヒトが関わる全社イベント運営においては必須のスキルといえます。
そもそもフルリモートでやる必要ある?
オフラインでやっていたことをオンライン化する、というのはフルリモート化における最初の一歩としては非常に取り組みやすい方法です。現在のような状況でリモートはほぼ必須の手段となっています。
しかし、今後オフィス出社がある程度解禁されたときに、どうするのかが非常に重要となってくるのではないかと考えています。選択肢が増えたときにどのような決断をするか、です。
「今までは出社がメインに据えられがちだった。現在は急遽リモートがメインとなっている。これが今後よりハイブリッドになっていったときにどうなるのか…」
アンケート結果では、オフライン開催を希望する声も10%以上あり「どちらでもよい」とあわせると、半数近くにのぼることも興味深い結果でした。
そうした前提に立ち、リモートで実施する場合に「ほんとうにこれが最適な手段なのか」「そもそもの目的を達成するためであれば、まったく別のアプローチがあるのではないか」という想いが企画段階でありました。
そこで今回新たな取り組みとして実施したのが、第二部のコミュニケーションイベントです。
第二部のコミュニケーションイベント
冒頭でも書いたとおり、第二部の目的とゴールは以下のとおりです。
オンラインにおけるコミュニケーションの敷居をさげるため、コミュニケーションをとることへの成功体験を積む(第二部)
業務がフルリモート化するなかで、偶発的なコミュニケーションの不足は大きな課題として捉えている企業も多いと思います。
雑談不足によるコミュニケーションロスに始まり、そこから生まれるはずだったイノベーションを抑制している可能性がある、というものです。
いわゆる雑談の不足はわたしたちも直面している課題であり、解決のためにいろいろなチャレンジをしています。そのうちのひとつがRemoというツールを使ったものでした。
Remoをさらに全社的に活用したらどうなるか?を確認したいことも今回のゴール設定に大きく影響しています。
次回、Remoで実施したキックオフ第二部についてお届けします。お楽しみに!
※第二部ですべての席が埋まったRemoの様子。
まつもと こうすけ【書いた記事一覧】
HRマーケティング課 ← 事業開発(パートナービジネス) ← テクニカルセールス ← AWSエンジニア(プロジェクトマネージャ / インフラエンジニア)■□■サーバーワークス2014年入社□■□
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