IT技術の語源について

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Introduction

皆さんこんにちは!24新卒で入社した、印部です。ただいま絶賛IT基礎研修を実施しています。

さて突然ですが、私は幼少の頃から語源を調べるのが好きでした。なので、IT基礎研修をしている今もそうで、面白いなと思った語源を紹介します!!

今回は、イーサネットとKubernetesの2つを紹介します!

Ethernet

イーサネット自体は日常的にお世話になる方が多いと思います。 私も仕事を始めるにあたって、社用PCを有線接続するために、Lanケーブルを注文して、この間接続していたのですが、そのときにふと、ある疑問が湧いてきました。

「イーサネット」って、「Ether」っていうけど、これってエーテル*1のことだよね?どうしてそんな物々しい名前なんだ......?」

そこでちょっと調べてみました!

まずはWikipediaでEthernetを調べてみたら、次のような記載がありました。

The idea was first documented in a memo that Metcalfe wrote on May 22, 1973, where he named it after the luminiferous aether once postulated to exist as an "omnipresent, completely-passive medium for the propagation of electromagnetic waves."(Ethernet - Wikipedia)

アイディアは最初、メモ書きのなかに記されていた。そのなかでメトカーフは、1973年5月22日に、「エーテル(Luminiferous aether)」にちなんでそれ〔イーサネットの原型〕を名付けたのである。エーテルとは、かつて電磁波を伝播するために、偏在している完全に受動的な媒体として、存在しているとかつては仮定されていたものである。

引用では、イーサネットが実際にエーテルという概念になぞらえて命名されたと言われています。

また、その記述についていた参考文献の方でも、次のように記述されています。

“The whole concept of an omnipresent, completely passive-medium for the propagation of magnetic waves didn’t exist. It was fictional,” Metcalfe tells us. “But when David and I were building this thing at PARC, we planned to run a cable up and down every corridor to actually create an omnipresent, completely-passive medium for the propagation of electromagnetic waves.”(Ethernet — a networking protocol name for the ages • The Register)

「電磁波(magnetic waves)のために偏在していて、完全に受動的な媒体という概念全体は、存在していなかった。それは仮象のものであった」、とメトカーフは教えてくれた。「しかし、Devidと私はパロアルト研究所(PARC)でこれを作り上げていたとき、電磁波を伝播するために偏在している完全に受動的な媒体を実際に創造するために、我々はケーブルを走らせ、あらゆる通路へと張り巡らせる計画をした」。

つまり、普段意識することはないけど、当たり前にどこにでも広がっている我々の足場として、あるいは我々の一部としているものとして、イーサネットのアイディアが練り上げられたという経緯が示されている、ということだと思います。

Kubernetes

次は、Kubernetesについてみてみましょう。コンテナ操作の技術とのことです!(全然扱えるわけではない)。

ただ、文字列が英語ではなく、どことなく古典的な匂いを感じさせるので、ひとまず公式サイトを見てみましょう!

Kubernetesの名称は、ギリシャ語に由来し、操舵手やパイロットを意味しています。 "K"と"s"の間にある8つの文字を数えることから、K8sが略語として使われています。(概要 | Kubernetes )

日本語版のサイトによれば、なんと(古典)ギリシア語が由来とのことです!一応語義が正しいか、Perseusで確かめてみましょう。

κυβερνήτης 1 κυβερνάω
(Perseus)

クベルメーテース(読み方) 舵手、操舵手、パイロット

つまり、操舵手、ということだそうですね!!合っていそうです。

コンテナを操作する技術なので、貨物のイメージなのでしょうか。仮想コンテナを作成するDockerという技術も、クジラのアイコンだったりと、海のイメージがつきまとうのが面白いです。

Conclusion

IT系の用語には、どうやら気の利いたおしゃれなロマンが隠されていることがわかったのではないでしょうか。

一般に、名付けられた名前にはいろいろな思いが込められるものです。これからもIT技術の中身を学んでいく傍ら、こうした語源をたどっていくことで、ともに開発者のロマンに思いを馳せる楽しみを味わっていただけたなら嬉しいです!!

References

*1:エーテル【ether】初め光の伝播を媒介する媒質としてホイヘンスが仮定し、のち一般に電磁場の媒質とされた物質。相対性理論によってその存在が否定された。(『広辞苑』第六版、岩波書店、2008/2009)

印部 仁博 (記事一覧)

人文系大学院で哲学やってます

IT初心者ですが、つよつよになれるようにお勉強頑張っています