本記事は、「タスクを漏らしてしまう」「効果的なタスク管理が分からない」と悩むジュニア層の方に向けて、実践的かつ簡単に取り組めるタスク管理の基本と具体的なステップを解説します。
- はじめに
- タスク管理とは?基本の考え方
- タスク管理を始める前に:準備と心構え
- タスク管理の実践STEP
- Tips:よくある課題とその対処法
- まとめ
はじめに
こんにちは!エンタープライズクラウド部クラウドコンサルティング課の日高です。
私は日々、プロジェクトマネージャーやコンサルティング業務を担当しており、その中で多くの同僚や後輩からこんな悩みをよく聞きます。
- 「ついタスクを漏らしてしまう…」
- 「効率的なタスク管理の方法がわからない」
これらは誰もが一度は抱える共通の課題です。
タスク管理がうまくできると、業務全体の効率が上がり、生産性も大きく向上すると考えています。
本ブログでは、「タスクを漏らしてしまった」「タスク管理を基本から学びたい」という方に向けて、『忘れてた!』をゼロにするタスク管理の基本と実践STEPガイドをお伝えします。
ぜひ最後までお付き合いください!
※筆者については以下のブログをご覧ください。
タスク管理とは?基本の考え方
この章では、「タスクとは何か」を明確にし、タスク管理の本質的な目的や効果について解説します。
次のステップに進む前に、まずはタスク管理の土台となる考え方をしっかりと押さえていきましょう。
本章の内容を先に整理
- タスクは「自分がやるべき業務」を指し、その背後には必ず「期待値」が存在する。
- 期待値を明確にすることで、タスクの目的や成果がより具体的になる。
- タスク管理の目的は「期待値を超えるために、1つのタスクに集中できる状態を作ること」で、社会人として必須スキルの1つ。
- タスク管理がもたらす3つの効果が以下。
- 業務効率の向上(迷いや無駄な時間を削減する)。
- 集中力の強化(1つの業務に没頭できる環境を整える)。
- 生産性の向上(タスク切り替えによるロスを防ぎ、より多くの成果を生む)。
「タスク」とは何か?期待値を知ることの重要性
タスクとは、シンプルに言えば「自分がやるべき業務」のことを指します。
日々の仕事は、このタスクが積み上がった状態で成り立っています。
しかし、単なる「やるべきこと」としてタスクをこなすだけでは不十分です。
その背景には、必ず「期待値」が存在していることを理解する必要があります。
タスクと仕事の関係
そもそも、仕事やプロジェクトを一言で定義するならば、それは「現在の状態から理想の姿へと変えるための、一連の業務の積み重ね」です。
この「理想の姿」こそがタスクの持つ期待値を表しています。
タスクをこなす際には、次のポイントを意識し期待値を明確化することが大切です。
- なぜこのタスクが必要なのか?(背景や意図)
- どんな成果物が求められているのか?(具体的なアウトプットのイメージ)
- タスクを終えたときに、誰にどんな価値を提供できるのか?
タスクの期待値を知ることの重要性
先ほども解説した通り、仕事には必ず「期待値」が伴います。
それは、上司や同僚、顧客といった他者の期待が存在しています。
この期待値を明確にし、それを超える成果を提供することが、タスクを実施する上での目指すべき姿だと考えています。
私の考える「仕事ができる人」の一つの定義は、「期待値を超え続けることができる人」です。
単に指示されたタスクをこなすだけでなく、その背景や目的を深く理解し、想像以上の成果を生み出すことが重要です。
タスク管理がもたらす「生産性革命」
タスクには必ず期待値があり、その期待値を超えることが重要だとお話しました。
しかし、実際の業務では、1つのタスクだけに集中できる状況は稀で、複数のタスクを同時に抱えることがほとんどです。
その中で成果を最大化するためには、「タスク管理」が不可欠です。
タスク管理の目的は、「1つのタスクに集中できる状態を作り上げること」にあります。集中力を高めることで、期待値を超える成果を生み出す環境を整えるのです。
よくある課題
タスク管理が苦手な場合、以下のような状況に陥りがちです。
- タスクが多すぎて何から手をつけていいかわからない
- 優先順位が曖昧で、時間が無駄になる
- タスクの切り替えが多すぎて、結果的にどれも中途半端になる
たとえば、Aのタスクを進めている最中にBを依頼され、Bを調べていたらCが気になり、Cを始める。Cが終わったタイミングで、自分が何をしていたか忘れてしまう。
このような混乱を防ぐために、タスク管理は欠かせません。
タスク管理の目的
タスク管理とは、「1つのタスクに集中できる状態を作ること」です。
これにより、複数のタスクを効率的に進めることが可能になります。
具体的に「タスク管理」とは、複数のタスクに対して以下を行うことを指します。
- 優先順位を割り振る:どのタスクから取り組むべきかを明確にする。
- 進捗を管理する:タスクの進み具合を把握し、必要に応じて調整する。
- スケジュールに沿って進める:効率よく業務を進め、期限内に成果を出す。
これにより、期待値を超える成果を出しやすくなり、仕事全体の質を高めることができます。
タスク管理がもたらす3つの効果
業務効率の向上
- 優先順位が明確になることで、次に何をすべきか迷う時間を削減できます。
- 重要なタスクにエネルギーを集中させ、無駄を省くことが可能です。
集中力の強化
- タスクの整理が進むと、1つの業務に没頭できる環境が整います。
- 「何から手を付けるべきか」と悩むことがなくなり、作業に集中しやすくなります。
生産性の向上
- タスク切り替えによるロスや、不必要な思考が減少します。
- 結果として、限られた時間内でより多くの成果を上げることができます。
タスク管理をマスターすることで、期待値を超える成果を安定して生み出す力を手に入れられます。
次章では、このタスク管理を実際に始めるための準備と心構えについて解説していきます。
タスク管理を始める前に:準備と心構え
タスク管理を成功させるためには、準備と心構えが重要です。
具体的には、タスクを見える化し、一元管理するためのツールを選び、タスクを整理するタイミングを固定化することが鍵となります。
この章では、タスク管理を始める前に知っておきたい基本的な準備について解説します。
本章の内容を先に整理
- タスクが散らばっていると漏れや混乱が発生し、効率的に管理できなくなる。
- タスク管理の基本原則は「タスクを可視化し、一元集約すること」。
- 可視化することで優先順位の割り振りや進捗管理がスムーズになる。
- タスクを整理するタイミングを固定化することが重要。
- 夜は「PM」として翌日のタスクを計画。
- 朝は「作業者」として計画に従い実行に集中する。
タスク管理の基本原則
タスク管理を成功させるための基本原則は、「タスクを可視化し、一元集約すること」です。
これができていないと、以下のような問題が生じる可能性があります
- やらなければならないタスクを漏らしてしまう
- どこにどのタスクが書かれているのか分からなくなる
- 複数のメモやツールを行き来する手間が発生する
さらに、タスクが可視化されていないと、タスク管理の重要なステップである「優先順位の割り振り」や「進捗の管理」が難しくなります。
効率的にタスクをこなすためには、まずすべてのタスクを一元化して管理する環境を整えることが必要です。
具体的な可視化の方法は実践編で詳しく解説しますが、タスク管理を始める際の最初のステップとして、「タスクを可視化し、一元集約すること」を徹底しましょう。
ツールを選ぶポイント
タスクを可視化・一元集約するためには、適切なツールを選ぶことが欠かせません。
ツールを選ぶ際の最優先事項は、「そのツールが自分の業務スタイルに合っているか」です。
どんなツールを使うかよりも、タスクがしっかりと可視化され、一元管理されているかが重要です。
逆に言えば、これができていれば、どんなツールを使っても問題ありません。
タスク管理ツールの例
代表的なツールには以下のようなものがあります。
それぞれの特徴を把握し、自分に合ったものを選びましょう。
Googleカレンダー
スケジュール管理とタスク管理を一体化できる。
日付ごとにタスクを配置し、締切が明確になる。
Trello
ボード形式でタスクを視覚的に管理できる。
プロジェクトの進捗を「未着手」「進行中」「完了」といったカテゴリで一目で把握可能。
JIRA
ソフトウェア開発向けのタスク管理ツール。
タスクの進捗やチーム全体の負荷を管理するのに最適。
Notion
カスタマイズ性が高く、個人からチームまで柔軟に対応。
データベース機能を活用し、タスクに付随する情報を詳細に管理できる。
Backlog
チーム向けのタスク管理ツール。
プロジェクト管理に特化しており、依存関係のあるタスクも整理しやすい。
タスクを整理するタイミングを決める
タスク整理は必ず日時で実施しましょう。
さらに整理するタイミングを固定化(習慣化)することで、無駄な迷いをなくし、スムーズにタスクを整理できる様になりましょう。
「夜はPM、朝は作業者」の考え方
おすすめのタスク整理のタイミングは、「前日の夜」です。
また、タスク整理を実践するために、役割を時間帯で分けて考えると効果的です。
夜:PM(指示者)の時間
- 自分をPMに見立て、翌日のタスクを計画。
- 「どのタスクを優先するか」「どのような段取りで進めるか」を決定する。
朝〜夕方:作業者の時間
- 夜に決めた計画に従い、迷わずタスクを実行する。
この切り替えによって、計画と実行が明確になり、タスクの消化がスムーズになります。 また夜の時間にタスクを整理することで、以下のメリットがあります。
- 翌日のタスクが明確になり、仕事のスタートダッシュが切りやすくなる。
- 頭の中をリセットして、質の良い睡眠を確保できる。
- 翌日の業務に対する全体像が見え、優先順位が明確になる。
- 心理的負担が軽減され、計画を立てる時間が短縮される。
タスクを「一元集約して可視化するツールを決定する」、「タスクを整理するタイミング」を決めることができたら晴れて準備完了です。
次章では、タスク管理を実践するSTEPを解説していきます。
タスク管理の実践STEP
本章の内容を先に整理
- STEP0:タスク管理ツールにて、タスクを可視化し、一元集約する
- STEP1:タスクを依頼されたら、迷わずタスク管理ツールを開いて期待値を確認しながら即登録!
- STEP2:タスクを細分化し、具体的な作業時間を見積もりタスク管理ツールに記録する。
- STEP3:「夜はPM、朝は作業者」の考え方を実践し、翌日実施するタスクの優先順位付けやスケジュール管理を実践する。
- STEP4:タスク実施後に振り返りを実施し、次回以降のタスク見積もり精度と、タスク実施の手間を減らすことで生産性を向上させていく。
STEP0:タスクを可視化し、一元集約
「タスク管理の基本原則」の章にて、タスク管理を成功させるための基本原則は、「タスクを可視化し、一元集約すること」とお伝えさせていただきました。
このステップが不十分だと、タスクの漏れや混乱が生じ、後続のステップが機能しなくなります。
タスクを見える化して、一元的に管理できる仕組みを整えることで、効率的なタスク管理の土台を作りましょう。
可視化必須の要素
タスクを可視化する際には、以下の項目を記載することが不可欠です。
必須項目
- タスク名:何をするのかを明確に記載。例:「A社への提案資料作成」。
- 期限(締切):完了すべき日付を設定(詳しくは後述するが、実際の締切より少し前にバッファを設ける)。
- 所要時間の見積もり:タスクを完了するのにかかる時間をおおよそ記載。
推奨項目
- 仕事の背景や意図:タスクの目的や背景、状況を簡単に記載。
- 具体的な成果イメージ:最終的に求められるアウトプットを明確化。
- タスクを分解した内容:後のステップで分解した要素を追記。
基本的にタスク整理を実施し、どのタスクを実施するか優先順位を決める際に上記の項目が大切になってきます。
可視化したタスクを「一元集約」することで、どこに何があるか迷わなくなり、管理が劇的に楽になります。
実際に可視化を体験!
実際にタスク管理ツール(今回は例としてJIRAを利用しています)を使って「A社への提案資料作成のタスク」を起こしてみました。
これを記録しておけば、後で見返してもタスクの内容がすぐに理解できます。ツールはJIRAに限らず、Googleカレンダー、Trello、Notionなど自分に合ったものを選びましょう。
ツールはなんでもいいので、全てのタスクを漏れなく写すようにします。
STEP0 はタスク発生前の準備でしたが、次の STEP1 では実際にタスクが発生してから行う作業について記載していきます。
STEP 1:期待値の把握
「タスクには必ず期待値があり、その期待値を超えることが重要」だと前の章でお伝えさせていただきました。
期待値を超える成果を出すには、タスクを依頼されたタイミングで「何を求められているか=期待値」をしっかり確認し、すぐにツールに登録することが鍵となります。
「タスクを依頼されたら、迷わずタスク管理ツールを開いて期待値を確認しながら即登録!」を覚えて実践をしていただくことで、タスク漏れゼロを実現できます。
ここでは、期待値を把握するための方法と、その重要性について具体的に解説します。
なぜタスクを即登録するのが大原則なのか?
タスクを依頼された直後は、その内容が最も鮮明に頭に残っています。このタイミングで期待値を確認し、ツールに登録することが重要です。
その理由は以下の通りです。
- タスク漏れを防止:その場で登録することでタスクが「見える化」され、忘れるリスクをゼロにします。
- 依頼者との認識の共有:タスクを即登録し確認することで、認識のズレを防ぎ、依頼者との信頼関係を築けます。
- 効率的な管理:タスク名と期限を記録しておけば、後から詳細を追加する際もスムーズに進められます。
- 依頼者の負担軽減:後から再確認されると、依頼者はタスク内容を思い出す負担を強いられます。即時に登録することで、依頼者も楽になります。
- タスクの具体化を促進:その場でタスクを登録することで、理解できている点と不明点が明確になります。不明点は即座に確認でき、タスクの解像度が上がります。
整理フレーム:期待値を明確化するための質問
タスクを依頼された際は、以下のフレームに基づいて期待値を整理しましょう。
- タスクの背景や意図
- このタスクはなぜ必要か?どんな目的があるのか?
- 例:「顧客への提案を強化するための資料作成」
- 具体的な成果物
- 最終的にどのような形で成果を出すのか?
- 例:「PowerPoint資料10枚」「エクセルでの集計データ」
- 所要時間の見積もり
- タスクにどの程度の時間がかかるか?
- 例:「約2時間」
- 期限
- いつまでにタスクを完了する必要があるか?
- 例:「〇月〇日 17:00」
- 緊急度・優先順位
- このタスクはスピード重視なのか、それとも質重視なのか?
- 例:「翌日までに粗削りでもいいので提出」「精度を高めた最終版が必要」
タスク依頼者が期待値に応えられない場合は?
タスク依頼者がすべての項目に答えられない場合もあります。
そのような場合は、次のステップである「タスクの分解と記録」を行う中で、未確定な部分を明確化していきます。
例:タスクの所要時間が不明な場合
- タスクを細分化し、それぞれのステップごとに所要時間を見積もることで、全体の所要時間を把握できます。
- 「A社資料作成」→「資料の構成を決める(30分)」「デザインを整える(1時間)」
タスクの詳細が最初からすべて明確でなくても、整理フレームを活用しながら進めることで、段階的に解像度を高めることが可能です。
タスク発生時の具体的な進め方
タスクを依頼されたら、以下のステップを実践しましょう。
- 依頼されたら即登録
- タスク名と期限だけでも、その場でツールに記録します。
- 例:「A社資料作成 〇月〇日締切」
- タスクの期待値を把握
- 整理フレームを使ってタスクの背景や成果物を具体化します。
- 時間がない場合の対応
- 忙しいときは、最低限タスク名と期限だけ登録し、後で詳細を追記します。
- 例:「顧客フォローアップメール送信 〇月〇日締切」
期待値を確認しない場合のリスク
期待値を確認しないと、以下のような問題が生じます。
- タスクを忘れる:時間が経つとタスク内容を思い出せなくなり、結果的に抜け漏れが発生します。
- 誤解が生じる:背景や目的を理解していないため、成果物が依頼者の期待と異なる場合があります。
- 再確認が必要になる:依頼者に再度確認を求めることで、時間のロスが発生し、信頼を損なう可能性があります。
期待値の把握は、タスク管理の基盤を整える重要なステップです。 タスクを依頼されたら以下を習慣化しましょう。
- その場でタスクを登録し、背景や目的を整理する。
- 不明点があれば即座に確認し、タスクを具体化する。
STEP 2:タスクの分解と記録
期待値を超える成果を上げるためには、タスクを細分化し、具体的な作業時間を見積もりタスク管理ツールに記録することも重要です。
これにより、必要な時間を確保し、効率的にタスクを進めることができます。
逆にこれができないと、タスクが期限内に終わらなかったり、期待以下の品質でアウトプットが仕上がってしまうリスクがあります。
タスクを細分化するメリット
タスクを細分化することで、以下のような効果が得られます。
- 割り込みに強くなる
- 細分化されたタスクにはそれぞれ完了のタイミングがあります。
- これにより、割り込みや中断が発生しても、どこまで進んでいたのかが一目でわかり、再開がスムーズに。
- 例:会議資料作成 →「資料構成の検討(完了)」「スライドデザイン(未着手)」
- 見積もりがしやすくなる
- 小さな単位に分けるとタスクがシンプルになり、見積もりが簡単に。個別の見積もりを合計すれば、全体の所要時間が明確になります。
- 例:「資料構成の検討(30分)+スライドデザイン(1時間)」=合計1.5時間
- 問題を特定・解決しやすくなる
- タスクがシンプルになることで、難易度が下がり、問題点の特定や解決がスムーズに。
- 例:「進行中で詰まっている部分がスライドデザインだ」とすぐにわかる。
- 協力を得やすくなる
- 細分化されたタスクは他者に依頼しやすくなります。
- 依頼内容が明確なため、協力を得るハードルも下がります。
- 例:「データ集計(他者に依頼)」「プレゼン内容の確認(自身が対応)」
タスクの分解方法
タスク管理の基本ステップは以下の通りです。
- タスクを大きな塊として捉える
- 最初にタスク全体を俯瞰し、「最終的に何を達成するべきか」を明確にします。
- これは「STEP1 期待値の把握」で基本的に済んでいます。
- 例:プレゼン資料作成、製品開発プロジェクト管理など。
- ゴールから逆算して主要なステップを洗い出す
- タスクを達成するために必要な主要なステップをリストアップします。
- 例:「資料構成の決定」「スライドデザイン」「データの収集」など。
- 主要ステップをさらに細分化する
- 主要なステップを、具体的で小さな作業単位に分割します。これにより、実行可能な形に変わります。
- 例:「資料構成の決定」→「ターゲットの特定」「必要な情報のリスト化」「構成案の作成」。
- 各タスクに必要な情報を付加する
- 以下の項目をそれぞれのタスクに付け加えます:
- タスク名(例:顧客向け提案書の草案作成)
- 期限(例:〇月〇日 17:00)
- 所要時間(例:30分)
- 優先順位(例:高)
- 以下の項目をそれぞれのタスクに付け加えます:
実際に、プレゼン資料作成のタスクを例に分解してみます。
- 大きなタスク
- 「プレゼン資料を作成する」
- 主要なステップに分解
- 資料の目的を明確にする。
- 必要な情報を収集する。
- スライド構成を決める。
- デザインを整える。
- 内容を見直す。
- 小さなタスクに分解
- 「資料の目的を明確にする」
- 目標達成の条件をリストアップする。
- 想定される受け手を具体化する。
- 「必要な情報を収集する」
- 過去のデータを整理する。
- 競合の情報をリサーチする。
- 「スライド構成を決める」
- 各セクションのタイトルを決定する。
- ストーリーの流れを確定する。
- 「資料の目的を明確にする」
タスク分解のコツ
- アウトプットを基準に考える
- 「何を達成するか」をゴールとして逆算することで、必要なステップが見えやすくなります。
- 1つのタスクを具体的にする
- 「顧客フォローの準備」ではなく、「顧客Aへの資料送付」といった具体的なアクションにする。
- 所要時間が1時間以内になるよう分割する
- 長時間かかるタスクは細かく分けることで、進捗を把握しやすくします。
- 割り込みを考慮する
- 割り込みや中断があっても再開しやすい粒度に分ける。
タスク分解のメリットを活かすために
分解したタスクは、すぐに記録し、一元管理することが重要です。
次章では、この分解したタスクをどのように優先順位をつけ、スケジュールに組み込むかを具体的に解説します!
STEP 3:翌日実践するタスクの選択
タスクを分解しただけでは、効率的なタスク管理は完成しません。
このステップでは、翌日に実践するタスクを選択し、スケジュールに落とし込む作業を行います。
ここでは、前の章で紹介した「夜はPM、朝は作業者」の考え方を実践し、優先順位付けやスケジュール管理を行う具体的な方法を解説します。
「夜はPM、朝は作業者」の考え方
再掲になりますが、タスク管理を効率化するためには、役割を時間帯で分けるのが効果的です。
- 夜はPM(プロジェクトマネージャー)
翌日のタスクを計画し、優先順位やスケジュールを決定します。PMとしての視点で、「何をいつ実行すべきか」を具体的に考え、タスクを整理します。 - 朝は作業者
夜に計画した内容を実行に移します。余計な判断をせず、計画に従ってタスクをこなすことに集中します。
カレンダーに次の日のタスクを記載する
計画を具体化するために、一元集約されているタスクを確認し、タスクをカレンダーに落とし込みます。
- タスクの配置例
- 9:00〜10:00:「資料構成の作成」
- 10:00〜10:30:「メール対応」
- 10:30〜12:00:「提案資料のデザイン」
- ポイント
- タスクごとに所要時間を見積もり、バッファ時間(10〜20%)を加える。
- 優先順位が高いタスクを午前中に配置し、重要度の低いタスクは午後に回す。
Eisenhower Matrix(緊急度・重要度マトリクス)の活用法
タスクを効率的に選択するために、Eisenhower Matrixを活用します。
タスクを以下の4つのカテゴリーに分類し、優先順位を明確にします。
- 重要かつ緊急(最優先で対応)
- 例:「今日中に提出する資料の作成」
- 重要だが緊急でない(計画的に対応)
- 例:「来週のプレゼン資料の準備」
- 緊急だが重要でない(可能なら他者に委任)
- 例:「雑務的なデータ入力」
- 緊急でも重要でもない(後回し、または削除)
- 例:「不要なメールの整理」
このマトリクスを使うことで、無駄な作業を減らし、本当に重要なタスクに集中できます。
朝は思考系、夜は作業系のタスクに分ける
効率を最大化するために、タスクを以下のように時間帯で分けることを推奨します。
- 朝:思考系タスク
- 頭がクリアな時間帯に、深い思考や判断が必要なタスクに取り組む。
- 例:「戦略の立案」「データ分析」「企画書の作成」
- 夜:作業系タスク
- エネルギーが低下してくる時間帯には、ルーチン的な作業や軽いタスクを配置。
- 例:「メールの整理」「資料の修正」「簡単なデータ入力」
STEP 4(+α):タスク完了後の振り返りとPDCAの回し方
タスクを完了させるだけでなく、振り返りを行い、次回の改善に繋げることが重要です。
このステップでは、タスク実行後の記録と分析を行い、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回します。
タスク完了後に確認するポイント
- 所要時間が見積もり通りだったか?
- タスクの見積もり時間と実際にかかった時間を比較します。
- 差が大きい場合は原因を考え、次回の見積もり精度を向上させます。
- 想定外の問題が発生したか?
- タスク実行中に生じたトラブルや課題を記録します。
- 例:「データが不足していた」「優先順位を間違えていた」
- 改善点はあるか?
- タスク管理プロセスの中で改善できる部分を明確にします。
- 例:「バッファ時間をもう少し長めに取る」「優先順位の付け方を見直す」
振り返りの実践例
例:プレゼン資料作成タスクの振り返り
- 見積もり時間:2時間
- 実際の時間:2時間30分
- 原因:デザイン調整に思った以上に時間がかかった。
- 改善策:次回はデザイン調整が楽になるようにデザイン案のテンプレートを作っておく。
タスク完了後に見積もりとの差分を記録し、原因を分析することで、次回以降のタスク見積もり精度と、タスク実施の手間を減らすことで生産性を向上させていきます。
Tips:よくある課題とその対処法
タスク管理を進める中で、多くの人が直面する課題を解決するための具体的な方法を紹介します。
これらの対処法を取り入れることで、タスクの整理や実行がさらにスムーズになります。
課題 1:タスク数が多くて混乱する
タスクが多すぎて何から手を付けていいのか分からなくなることはよくあります。
この場合、タスクを整理し、優先順位をつけることが鍵です。
対処法:タスクの制限と優先順位付け
- 5分ルール
- 「5分以内でできることは、すぐにやる」というシンプルなルールを導入しましょう。小さなタスクを依頼されたその場ですぐに片付けることで、リストが短くなり、視界がクリアになります。
- 例:「メールの返信」「書類の整理」など。
- Eisenhower Matrixの活用
- タスクを「緊急度」と「重要度」の軸で分類し、優先順位を明確にします。
- 重要で緊急なタスクから取り掛かり、重要でも緊急でないタスクは計画的に進めます。
課題 2:タスクが多くてキャパオーバー
仕事量が多すぎて自分だけでは処理しきれない場合は、タスクの調整が必要です。
対処法:捨てる・緩める・任せる
- 捨てる
- 本当に必要のないタスクを削除し、タスク数を減らします。優先順位の低いタスクを見直しましょう。
- 例:「不要な会議の準備」「効果の薄い報告書の作成」など。
- 緩める
- 完璧主義を捨て、合格点の成果物を目指します。作業時間や完成度の基準を柔軟に設定しましょう。
- 例:「デザインの詳細を簡略化」「報告内容を要点に絞る」など。
- 任せる
- 他のメンバーや外部リソースにタスクを依頼します。細分化したタスクなら、依頼内容も具体的で伝わりやすくなります。
- 例:「データ収集をチームに依頼」「簡単なリサーチを新人に任せる」など。
課題 3:タスクをたくさん受け取ってしまう
タスクを調整する前提として、そもそもタスクを過剰に受け取ってしまう性質の人もいます。
この状態を改善するには、自分の稼働状況を客観的に把握し、適切にタスクを管理することが重要です。
対処法:自分の稼働状況を可視化する
- タスク一覧を整理
- 来週が期限のタスクをすべて洗い出す。
- タスクごとに所要時間を見積もり、必要な工数を確認する。
- 1週間分の予定を作成
- 洗い出したタスクを1週間のスケジュールに当てはめ、対応可能な工数を埋める。
- 自分の稼働状況を確認
- 余裕がある場合:スケジュールに空きがある場合、今週中の新しいタスクを引き受けることが可能。
- ピッタリ埋まった場合:スケジュールが完全に埋まっている場合、今週中のタスクは新規で引き受けない。
- 溢れた場合:タスク過剰の状態。以下のアクションを検討する。
- タスクを他の人に振る。
- 依頼者と相談して期限日を延ばす。
課題4:締切が守れない
タスクが予定通りに進まない原因の多くは、計画に余裕がないことです。
バッファ時間を設定することで、トラブルにも柔軟に対応できる計画を立てましょう。
対処法:バッファ時間の設定
パターン1:1日の作業に少しずつバッファ時間を設ける
- 方法:各タスクの見積もり時間に10~20%のバッファ時間を追加。
- メリット:タスクごとの進捗を随時確認しやすく、遅れを次のタスクに影響させない。
- 例
- タスク1:1時間(見積もり)+10分(バッファ)
- タスク2:2時間(見積もり)+20分(バッファ)
パターン2:1日の最後にバッファ時間を設ける
- 方法:1日の終わりに1~2時間のバッファ時間をまとめて確保。
- メリット:細かい調整が不要で、計画全体がシンプルになる。
- 例
- タスク5終了後に1~2時間のバッファ時間を確保。
- どちらのパターンが適しているか?
- パターン1:タスクの進捗をこまめに確認したい場合。
- パターン2:シンプルな計画を好む場合や、1日のタスク量が多い場合。
計画に余裕を持たせることで、ストレスを軽減し、作業効率がアップします。
タスクの所要時間見積もりに自信がない場合は、両方のパターンを一緒に試すハイブリットの方法もお勧めです。
課題5:タスクにかかる所要時間が見積もれない
タスク管理を進める中で「この作業にどれくらいの時間がかかるのか分からない」という状況に直面することがあります。
所要時間を見積もれない主な理由は、タスクの詳細や全体像が不明確である場合が多いです。
このような状況では、以下の対策を取りましょう。
対処法:所要時間を見積もるためのタスクを作る
- タスクを一部実行して見積もりを試す
- 不明点が多いタスクの場合、まず1時間だけ作業を進めてみることで、全体にかかる時間を推測します。
- 例:「プレゼン資料作成」の所要時間が不明な場合、1時間だけ資料の構成を考える作業を進めてみる。その結果、全体にかかる時間を「5〜6時間」と見積もる。
- 再見積もりを行うサブタスクを設定
- タスクの途中で一旦立ち止まり、進捗を確認し再見積もりを行うタスクを作成します。
- 例:「資料の構成決定(1時間)」→「デザイン調整(2時間)」→「進捗確認と再見積もり(30分)」といった形でサブタスクを設定する。
まとめ
最後まで本ブログをお読みいただき、ありがとうございました。
「タスクを漏らしてしまう」「効果的なタスク管理が分からない」と悩むジュニア層の方に向けて、タスク管理の基本と具体的なステップを解説しました。
本ブログの内容が、1つでも具体的なアクションに繋がり、タスク漏れをゼロにするお手伝いができれば幸いです。
ぜひ、今日から実践してみてください!
日高 僚太(執筆記事の一覧)
2024 Japan AWS Jr. Champions / 2024 Japan AWS All Certifications Engineers
EC部クラウドコンサルティング課所属。2022年IT未経験でSWXへ新卒入社。
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