こんにちは!広報のたがみです。本記事はサーバーワークス Advent Calendar 2024 12月19日の記事です。
今回の記事は「アウトプット」をテーマにインタビューした内容をまとめたものです。
サーバーワークスにはアウトプットを大切にする文化があり、自社の知見や取り組みを社内にとどめるのではなく、積極的に発信して世の中に役立てることを推奨しています。会社で運営しているエンジニアブログでの情報発信をはじめ、サーバーワークスの名前を背負っての社外イベント参加、登壇などを積極的に行う方も少なくありません。
お話を伺ったのは沓名亮典さん(以下:くつなさん)!くつなさんはサーバーワークスに入社される前から、長きにわたって「執筆活動」という形でアウトプットを続けているエンジニアです。
社外での執筆活動についてのお話を交えながら、エンジニアとしてアウトプットを続けていく際に意識したいポイントがいくつか出てきましたので、気になる方はぜひお読みください!
まずはくつなさんについての紹介です。
プロフィール
沓名亮典(くつな・りょうすけ)
2021年に株式会社サーバーワークス入社。現在はアプリケーションサービス部エデュケーショナルルサービス課に所属。
AWS 専業のクラウドエンジニアとして SI 業務、トレーニングにかかわる。2児の父。
くつなさんは新卒で Java & Linux を扱った SI 業務を行う会社に入り、2021年にサーバーワークスへ入社されました。現在は AWS 専業のクラウドエンジニアとして SI 業務、トレーニングにかかわっています。
そして二十年来、会社でエンジニアとして働く傍ら、AWS やクラウド、Linux を含めた OSS(オープンソースソフトウェア) の話題を扱った書籍の刊行、雑誌への寄稿で筆をふるっています。
執筆歴
2002年 秀和システムより「RedHat Linux 6.2入門キット」を執筆
2003年 秀和システムより「Red Hat Linux 活用ガイド」を単著で執筆
2005年 技術評論社より「Linuxコマンドポケットリファレンス」の執筆(この書籍から雑誌寄稿が続く)
2013年 技術評論社より「Linuxシステム実践入門」を執筆。この本で挿絵を描いていたところから声がかかり、技術評論社の Software Design でマンガ連載が開始
2024年 連載を10年続けたところで終了。単行本「ひみつのLinux通信 UNIXコマンド実力養成」(技術評論社刊)出版へ
くつなさんが著者として今年11月に刊行された最新本「ひみつのLinux通信 UNIXコマンド実力養成」(技術評論社刊)については、詳しくはこちらをご確認ください!連載10年のタイミングで出版された、記念すべき一冊です。
始まりは Web 上での日記
くつなさんの執筆活動のルーツは2000年、新卒入社時代にさかのぼります。いわゆる「ブログ」と呼ばれるプラットフォームができる前、ホームページと呼ばれる Web 日記のようなものをやっていたそう。
始めたきっかけとして、当時のことをこう話します。
最初に Linux と Java を扱っていた会社に入社したのも OSS に触れ、爪痕を残したいという気概があったから。でも、世の中にはもっとすごい人がいて自分がやりたい、変えたいと思い立ったものはすでに作られていたりするんですよね。そうなると、自分が残せるものや人生でアピールできるものがなかなか無いなぁと感じていたんです。
若い時は時間があったので、まだ未熟な中でできることはなんだろうとよく考えていたのですが…そんな時、この形のアウトプットにたどり着いたんです。自分が分からないことや気になって調べたことをまとめて、日記として公開していました。
日々の学びをアウトプットし貯めていた Web ページが編集社の方の目に付き、始まったくつなさんの執筆活動。
執筆、出版を重ねていく中で驚きの出来事も!
漫画は、中学3年生の時に漫画家になりたいと思い立ち、独学でのめりこんでいた時期がありました。雑誌の寄稿に応募したらちょっとした賞をもらって掲載してもらえたこともありましたね。結局、やっていく中で「特別絵がうまいわけでも面白い話を描けるわけでもないし、これで自分は生きていけないな」と思ってやめちゃったんですけど……久しぶりに描いて出版してみたら、それがまた編集社の方に気づいてもらえて、SNS でお声がけいただきました。最初は釣りかと思ったら本気の話で。連載が始まってびっくりです(笑)
働きながら執筆って、できるの?
くつなさんの経歴を簡単にご紹介したところで、続いて「具体的に執筆活動って何をどれくらいするの?」ということで本一冊の内容が完成するまでの流れを簡単に説明します。
大まかな流れは以下の通り。
依頼を受ける
↓
納期や内容の打ち合わせ
↓
執筆
↓
編集社によるレビューや修正(3回ほど繰り返す)
↓
完成!
これが、大体1年くらいかけて行われます。
くつなさんはこれらの作業を、業務に影響の出ない程度で活動することを目標・前提とし、平日の業務後・土日祝日の主に夜、書き上げているそうです。
大変じゃないのか…?仮に土日祝日のすべてを執筆活動に費やしていたとしても大変じゃないのか……?と恐れ慄いていると、思わぬ事実が発覚。
執筆活動以外の普段の生活についてお聞きしてみると、くつなさんはとにかく多趣味で活動的!仕事と執筆以外にも様々なことをされていました。
できるのか……?
執筆・会社での勤務・趣味・家族との時間って、4足の草鞋って、履けるのか……?
大変ですよね………?
くつなさん:あっ、大変です。時間カツカツです。めちゃくちゃ大変ですよ。
大変でした。
くつなさん:時間管理とか頑張ってするんですけどやっぱりちょっと…〆切をずらしてもらっちゃうなんてことも…ありましたね……^^
苦笑いのくつなさんでしたが、たとえ完璧でなくてもこの生活を続けるには色んな工夫が必要なはず。どのようなワザがあるのかお聞きしました。
ワザ① 習慣化する
くつなさんは、朝は趣味・昼は働く / 家族と過ごす(勤務、家庭)・夜は執筆、と時間を固定してやることを決め、ほぼ習慣化している状態でした。
これによって確実に執筆の時間を確保し、コンスタントに作業を進めることができていたそうです。
習慣化できれば、その行動は生活のリズムに組み込まれて自然とできるようになります。
お話を聞いていて、「毎日やる」だけではなく「毎日『この時に』やる」といったように時間やタイミングを意識するとより習慣化しやすいのかもと気づきました。
ワザ② 時間はとにかく捻出する
「時間はあるかないかではなく、作り出す」というマインドを、持つというより、ほぼ "持たざるを得ない" という状況ではありそうですが、とにもかくにも時間を捻出していたそうです。
スケジュールから逆算し、期日の設定を行い、優先順位を設定する。これだけでも時間がうまく活用できるようになりますが、そこからスキマ時間をさらに見つけ、"存在する時間はすべて有効に使う" と言っても過言ではないくらい時間の調整を徹底したそう。
「会社に所属しているなら会社経由で依頼を受けるっていうのもありかもしれませんね。執筆が仕事の中に入るので、時間は一気に増えます」と裏ワザも教えてくださりました。
ワザ③ 睡眠は確実に取る
「やっぱり睡眠が一番大事ですよ!!」
くつなさんの声が放つ勢いから、どれだけハードな生活でも睡眠をとることは最重要事項なのだと切に感じました。
無理をせざるを得ないときも、自分の体力とはきちんと相談して、寝るときは寝るようにすることで作業パフォーマンスを維持するのが継続のコツ。
とは言ってもくつなさんは「睡眠時間を削って時間を捻出する」という力技を何度か繰り出したことがあるそうで……これに関しては反省から来る学びだそうです。「正直、体にガタは来てる気がしますね……」と声を落とされていました。
ワザ④ 日ごろからネタを見つけて貯めておく
冒頭でも触れましたが、くつなさんの執筆活動のルーツは Web での個人発信。普段使っているものに関するアウトプットの延長線上ということもあり、常に興味を持って調べ、学んだことはネタとして日ごろからストックしておくそうです。
ですが OS 自体が幅広い領域で使われているものとは言え、そんなにネタが尽きないことがあるのでしょうか。そこにはくつなさんならではの、好奇心を活性化させる考え方がありました。
これはこういうものなんだな~で終わってしまうのはもったいないですし面白くないですよね。もともと私の好きな OSS が、調べて改修したりカスタマイズできるというもので、そこに魅力を感じているので自ずとそういう考え方になっているのかもしれませんが…直せるんだったらやってみよう!という気持ちで常に目の前のサービスやプログラムを触っています。アウトプットを続けていくためには、「もっと知ろう」という気持ちを持って向き合うことは大切だと感じますね。
この考え方は、広い意味では自分の頭に浮かべたイメージと目の前の現実のギャップを見つけて、既成の枠組みに囚われず、より良いものを追い求める、といったようにも捉えられそうです。他の分野でのアウトプットや仕事をするうえでも通ずる、大切な姿勢だと感じました。
「だれかのためになっていれば幸せ」
このように執筆、アウトプットを続けるコツとして色々挙げてくださったくつなさんでしたが、続けられる原動力の根底には「誰かのためになりたい」という思いがあると言います。
自分が調べて分からないことは、自分の他にも同じように分からず困っている人がこの世にせめて3人くらいはいるはずだと思っています。調べて自分が分かったらすっきりするだけではなく、それをまとめていろんな人が見える場所においておけば誰かを救えるかもしれない。そんな思いも込めて、私が寄稿する際は必ず最後に「誰かのためになっていれば幸せです。」という一文で締めています。
アウトプットの方法は人それぞれで、私は書籍執筆、雑誌寄稿、マンガ連載でした。アウトプットはしなければ何も起きないし、すれば次のステップに繋がります。少しずつでも出していくことが大切です。自らの経験や発想が誰かのためになるかも、と思えばアウトプットはぜひするのが良いと思います。
最後に、くつなさんに執筆活動の今後についてお聞きしました。
10年連載というアウトプットを続けられたのは、やはりインプットをそれなりにできていたからだと思います。いつ依頼が来てもいいように、今後も業務・読書・ニュースなどでインプットの時間を大切にしていきたいですね。 あとは、無理をしすぎず健康に気を付けます(笑)
おわりに
ということで、執筆活動を通してアウトプットのコツ、アウトプットを続けていく考え方を教えていただきました。
よく考えると私も今回、くつなさんのお話からアウトプットに関する考え方を学び、それを「インタビュー記事」としてアウトプットしたことになりそう……ですよね!(淡い期待)普段書いているインタビュー記事とは少し様式が異なる書き方にチャレンジしてみました。先輩からフィードバックをもらって次のステップにつなげたいと思います。
この記事が、エンジニアとしてアウトプットをしたいと思っている方、アウトプットしたいけどなかなか続けられずに悩んでいる方、エンジニアとして書籍の執筆に興味がある方などの情報収集として、一助となれば幸いです!(©くつなさん)
2021年新卒入社