新卒の面接対策でいちばん大切なこと【その2】コンピテンシー面接対策 準備編

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コンピテンシー面接対策はこれを読めば70%はOKです!

採用担当になる前のエンジニア時代から、新卒採用でコンピテンシー面接を4年くらい続けてきた僕が、今なおブラッシュアップし続けている面接の手法、準備や対策、数百名の学生との面接を通じて感じた点などを通じて、学生の皆さんに就活をよりよいものにしてほしい気持ちよ届け!な連載記事第二弾です。

今回はコンピテンシー面接対策の準備編として、以下について書いていきたいと思います。

コンピテンシー面接がそもそもどういったものなのか、といったことについては前記事をぜひ御覧ください。

note.com

コンピテンシー面接で面接官はなにを期待しているか

面接官が期待していることはなんだと思いますか?

  • 学生時代にどれだけ大きな成果を残してきたか知りたい
  • 多くの人とより円滑にコミュニケーションをとれるのか、その能力をみたい
  • 地頭の良さや頭の回転の速さをみて、優秀な学生かどうか判断したい

上記はコンピテンシー面接において期待していない点です。学生のみなさんからすると、いかに自分がやってきたことが素晴らしいものだったのかについて理路整然と述べることが重要で、なるべく自身の良い(と一般的に見られる)ところをひたすら伝え続けるのが面接においての王道、と思っている方も多いのではないでしょうか。

そういった点が求められる面接もあるかもしれませんが、わたしたちが実施しているコンピテンシー面接の期待値としては実は大きくズレています。

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期待していること

ズバリ言うと「あなたが過去置かれてきた状況において、その瞬間どういう判断や考えを持って、どう行動してきたのか」を知りたいと思っています。

面接のときには基本このことしか考えていません。目の前にいる学生のあなたが「優秀かどうか」見極めようとは思っていません。

アルバイトでも、サークルでも、ボランティアでも、研究活動でも、きっと自分が一番時間をかけて取り組んできたなにかがあるはずです。

そしてその活動のなかで、ちょっと大変だったな、苦労してこんなことやってみたな、うまくいかないときにはこういうことやってみたな、というその瞬間の考えからどう行動に結びつけていったのかが知りたいことです。

「成果」の大小は関係ない

これも学生のみなさんが時々認識を誤ったまま、無理やり自己PRに結びつけようとして失敗するパターンです。

全国レベルで成績を残した、数百人いるサークルを幹部としてまとめあげた、他大学との合同研究でリーダーシップを発揮し学会でも成果をのこした、などという活動内容は「なんとなくすごそう」感が漂います。

自分の体験にも少しでも華を添えようと思い、大きく見せられそうな話題を探し、そのなかで自分がやってきたことをすこし大きくみせながら「これでどうでしょうか?評価されるでしょうか?」という感覚で面接に臨むとだいたい失敗すると思います。

もし面接に通ったとしても入社してから苦労するはずです。

成果の大小は面接結果になにも関係がない。

これは面接官にも、学生にも声を大きくして伝えたい重要なポイントのひとつです。先述のとおり、コンピテンシー面接において面接官が期待していることは、あなたが残した成果ではなく「行動」です。

たとえ残せた結果が第三者からみれば小さくみえそうなものでも、取り組みがうまくいかず失敗したものでも、そこにあなたの行動は確実に伴っているはずです。ぼくたち面接官はその行動を知るために面接をしています。

面接で聞かれる質問への準備

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いつ、どこで、どのようなことをしましたか?

コンピテンシー面接において必ず聞かれる質問は「それはいつですか?」「場所はどこだったんですか?」「どんなことから始めたんですか?」といったものです。

この質問に明確に答えられることがコンピテンシー面接の最低限のラインになるかなと思います。

しかも、それぞれの質問においてかなり高い解像度で話をできるようにすることが大事なポイントです。

「それはいつですか?」 「大学2年生の冬です」

これだと曖昧すぎます。前回の記事で書いた「場面」を思い出せるくらいのものが必要です。

大事なポイントとして、ここでいう場面とは「最長でも1日単位で、場所が特定されている」ものをいいます。例えば「アルバイトを始めて3ヶ月ほど経ち、夕方シフトにはいったある日の、スタッフの休憩室で」といった具合です。ここまで細かく特定していくことには理由があります。時間や場所を跨いでしまうと、学生の行動が抽象的なものになってしまい「行動事実」ではなくなってしまうことがほとんどだからです。

新卒の面接対策で一番大切なこと【その1】「想い」だけでは足りない。|松本 幸祐 - Kosuke Matsumoto|note

ここまで高い解像度がなぜ必要かというと、より学生の行動レベルを具体化し、なぜ学生はそのときにそういう行動をとったのかという理由に紐付けて、面接が終わったあとに学生の「コンピテンシー」がどのレベル感まで達しているのかを明確な基準のもと判断するためです。

こういった質問に答えるためには、しっかりと過去自分が活動してきたものについて棚卸しをしないといけません。おすすめなのは時系列にそって、どんなことを自分自身が行動してきたのかを書き出していく方法です。

そして書き出した行動をどんどん細分化していきます。場所はどこで、誰が一緒にいて、こういう会話があってこういうことをしたな、という具合です。

非常にボリュームのある作業になるとは思いますが、自分自身が一番打ち込んだ活動だけでもよいのでぜひやってみてください。イメージとしては書き出したものを見て、頭の中で映像が再生できるくらいの具体化です。

ここまでやると自身が行動をとった理由がなんだったのか、なにがきっかけだったのか、その行動によって周りがどう反応してどういった結果になったか、といった面接でかならず聞かれる質問にかなり高いレベルで話をすることができます。

もちろんこのレベルに達していること自体は評価ポイントとしてはあまり高くはないのですが、面接官の期待値は十分に満たしているといえます。それに面接自体がお互いにとって非常に有意義な時間となります。

具体的な行動とはなにか

「行動」ときいて少し抽象的に感じてしまう方もいるかもしれません。言語化したり説明するのは未だに難しいと感じるところなのですが、コンピテンシー面接において期待する行動とは下記のようなものです。

目標に対して自身が考えて判断し、方針を伴って実施したこと。またそれによって、自身および周囲へなんらかの影響をあたえる結果を伴うこと。

なぜ行動というのものを定義したいのかというと、面接において学生の考えや行動特性のようなものが見えづらい行動というものもあり、そこに執着してしまうと面接後の判断が非常に難しくなるパターンがあるからです。

たとえば研究活動についてテーマを設定し、面接を進めていった場合です。コンピテンシー面接においては面接官が聞きたいのは、どういった研究をして、どういった成果をあげたのかという点ではありません(面接官の専門外であることがほとんどです)。

期待しているのは、その研究をよりうまくすすめるため、目標に到達するために、自分自身のみならず周囲へどのような影響を与えた行動をとってきたのか、という点です。研究手法そのものではなく、その手法を実施するために調べ物をしたり、周囲の協力を得たりするための行動や理由、そして結果です。

ここは面接官も非常に苦労することが多いポイントであり、なぜその研究手法を選んだのか?みたいな流れになってしまうと、いわゆる学会の質疑応答のような形式になってしまい、本来知りたい「行動」に着目することができなくなってしまいがちです。

※研究そのものに対する行動を否定するものではなく、あくまでコンピテンシー面接において面接官が知りたい情報とギャップが生じやすい、という観点で例にあげています

手法や手順そのものではなく、もう少し視点を広げた行動であることを意識してもらうと良いはずです。

時系列への意識は忘れずに

コンピテンシー面接において重要なのは「行動」です、というのは何度も繰り返し書いていますが、それと同じくらい大事なものが「時系列」です。行動は結果を伴います。

その結果をもとに次の行動につながっていくものです。ということは行動をより知り、理解するためには順番も非常に大事だということになります。

自己PRを意識するがあまり、この時系列がごちゃまぜになってしまうパターンもよく起こりがちな失敗する面接のパターンです。

自分が良いと思っているところのみをかいつまんで話してしまうため、その話題を初めて聞く側にとっては行動の関係性が見出しづらく、単発的な行動の羅列と見えてしまうことがあります。

その結果自体、積み重ねてきた多くの行動や結果があってのことです。その積み重ね部分が抜け落ちてしまうと、面接官が期待している知りたい行動の「量」においてギャップが生じてしまいます。

行動自体はとてもよさそうなのに、つながりが見えないため目の前の学生がどういった考えや判断で、その行動と結果に結びつけてきたのかがわからないのです。

「わからない」というのがコンピテンシー面接において一番もったいないな、と思うお見送りの理由です。いいものをもっていて、いままでもたくさん行動してきているのに、それが面接官にたいしてしっかりと伝わっていないのです。

もちろん面接官は「わからない」を減らすために、面接の流れや質問の仕方を随時ブラッシュアップしながらたくさんの情報を引き出すように努力をしています。

やはり学生側の準備とこの面接官の準備がうまく噛み合わないと、面接における期待値ギャップは防ぐことが難しいというのが正直なところです。

過去の行動の棚卸しの際に時系列で書き出す、というのはこのポイントをクリアするためにも有効です。

コンピテンシー面接対策の準備で大事なこと

今回の記事をまとめた重要ポイントです。

  • 面接官は「行動」そのものを知りたいということを理解する
  • 行動には理由や結果が伴うため、その結びつきも整理し言語化しておく
  • 成果の大小は関係がない。あくまで自身が力を注いだことに注力して過去を振り返る
  • 質問に対しては解像度の高い回答ができるように、過去の行動を整理する
  • 行動は時系列で整理する。行動と結果はかならず連鎖するものであることを理解する

次回の記事は

今回の記事に入れ込むつもりでしたが、長くなりそうなので次回へ持ち越したいと思います!実際に面接で「行動」をしっかり言えたつもりが面接には落ちてしまった…なぜ!?という疑問に答える、コンピテンシー面接評価編です。乞うご期待。

  • どういった学生がコンピテンシー面接の評価が高い/低いのか

まつもと こうすけ【書いた記事一覧】

HRマーケティング課 ← 事業開発(パートナービジネス) ← テクニカルセールス ← AWSエンジニア(プロジェクトマネージャ / インフラエンジニア)■□■サーバーワークス2014年入社□■□