答えを持つな。仮説を持て。〜AI時代に「オーナーシップ」を失わないための仕事論〜

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こんにちは。 クロスインダストリー第1本部クラウドコンサルティング2課(Xi1部CC2課)の横山です。

2024年に入社してから2年以上が経過し、3年目に入っていますがようやっと2つ目のブログです。

久しぶりすぎて少し緊張していますが、ふとタイトルに掲げた「答えを持つな。仮説を持て」というメッセージを発信したくなり筆を執ることにしました。

AI時代に、自分の仕事の「オーナーシップ」をどう考えるべきか。

タイトルを見て少しでもピンとくるものがあった方、しばしお付き合いください。

その前に:なぜ「エンジニアブログ」ではなく「サバワク」なのか

サーバーワークスには、技術的な知見を発信する「エンジニアブログ」と、人やカルチャーを発信する「サバワク」の 2 つがあります。

今回の内容は、 AWS の話でも、システム開発に限った話でもありません。すべての職種に通じる「一般的な仕事論」、あるいは「マインドセット」の話です。

「サーバーワークスには、こういう考え方を持って仕事に向き合っているメンバーが (少なくとも一人は) いる」という、カルチャーの等身大の一片をお届けしたく、「サバワク」の場を借りて発信することにしました。

テーマは、私が日々の業務で最も大切にしていることです。

「答えを持つな。仮説を持て」

生成 AI が日常のツールとなった今、私たちが最も警戒すべきなのは、「自分が欲しい答えを、外部に担保してもらおう」という依存のマインドだと考えています。その本質について、私なりの現時点の見解(仮説)をお話しします。

ビジネスの「本当の価値」とは

AI の真価については今も世界中で議論が続いており、まだ誰も明確な正解を出せていません。しかし、変化の激しい環境にいる私個人が感じる結論は、「 AI とは、プロセスを極限まで高速化・低コスト化する、個人の超効率化手段である」ということです。

これまでデータの調査、要約、コードの検証、レポートの作成などに 1 週間かかっていた作業が、 AI を使えば半日で終わる。それどころか、今や個人であっても AI と対話しながら、Web サイトやアプリケーションを十分に開発できてしまう時代です。これは紛れもない事実です。

サーバーワークスの行動指針の第一には「スピード」があります。変化の速い世界において、スピードは絶対的に必要な「前提条件」です。 AI というとてつもないツールを手に入れた私たちが、作業を爆速化させるのは当然のステップと言えます。

しかし、ここで一つの問いが生まれます。

「調べればすぐに出てくる『答え』に、ビジネス的な価値はあるのだろうか?」

結論から言えば、そこに価値はない、と考えます。なぜなら、既に自明の通り誰でも一瞬で、アクセスできるものだからです。 本当のビジネス的な価値は、その先にある、というのが私なりの考えです。それは、「その答えを信じて、実際に仕事を進めるのか?」という決断にしかありません。そしてその決断の本質とは、突き詰めると「自分で責任を負うこと」、つまりサーバーワークスの掲げる行動指針の1つである「オーナーシップ」に他なりません。

本来は1週間かかるであろう作業を、AI を使って半日で作業を終え、すぐに「できました!」と報告する。それ自体は素晴らしいスピードです。しかし、もしその中身の責任を自分で取るつもりがなく、ただ AI の出力を右から左へ流しただけだとしたら。それは「スピード」はあっても「オーナーシップ」が欠落しています。

作業時間は圧縮するが(スピード)、自分の頭で思考を整理し、精度を上げた状態で、「自分はこう考えます」という意思を持って次のアクションに移る(オーナーシップ)。これこそが正しい効率化の形であり、どれだけテクノロジーが進化しても、最後の責任を引き受けることだけは、 AI には代替できないのです。(少なくとも現状は)

「 AI に答えを求める人」と「 PM に答えを求める人」

この「答えへの依存 (他者への担保要求) 」という構図は、実はシステム開発の現場における「人間関係」でも、全く同じ形で起きています。プロジェクトマネージャー (PM) としての私の視点です。

私は常々、一緒に働くメンバーにこう伝えています。

  • 「 PM に答えを聞くな」
  • 「レビュー依頼と称して、 PM に自分の設計の担保をさせるな」

なぜなら、 PM に答えと担保を求め、言われた通りに動くだけのメンバーは、いわば「 PM の劣化コピー」になってしまうからです。それではプロジェクト全体のパフォーマンスの天井が PM 個人のキャパシティだけで決まってしまい、メンバー自身のポテンシャルも最大化されません。

ここで、 AI と PM に対する姿勢(行)と、依存と自立(列)の対比を整理してみます。

対象 依存(答え・担保を求める) 自立(仮説をぶつける)
AI に対して 「これが正解?」と答えを聞き、自分の主張を補強する免罪符にする。 「自分の持論は独りよがりではないか?」と批判的目線で壁打ちする。
PM に対して 「これでいいですか?」と答えを聞き、レビューで安心(お墨付き)をもらう。 「自分は〇〇の理由でこの設計にしたいが、どうか?」と壁打ちする。

AI に依存するのも、 PM に依存するのも、根っこは全く同じです。「自分で決める責任 (思考のコスト) 」から逃れ、外部の正解っぽいものに安心感を担保してもらいたいという姿勢です。

しかし、現代の優秀な AI を使えば、技術的な「答え」や「レビュー」の多くは、かなりの精度で代替できるようになりました。

では、 AI で代替できる時代において、人間である PM (あるいは上司) に相談し、報告することの本質的な価値とは何でしょうか?

それこそが、先ほど述べた「責任」です。より詳しく補強するならメンバーとPMでは「対象と範囲」に違いがあります。

  • メンバー: プロジェクトの作業者として、 PM からの指示や自分の担当範囲に対して責任を持つ
  • PM: プロジェクト全体の推進者として、「顧客の要望 (ビジネスの成否) 」に対して責任を持つ

つまり、「顧客の前に立って、そのプロジェクトの責任を背負える人」が PM です。身も蓋もない言い方をするなら、それぐらいしか違いはありません。これは極論、部長 (部の回答に責任を持つ人) 、社長 (社の回答に責任を持つ人) も同様と考えています。

役職の本質とは、スキルの優劣ではなく、「背負っている責任の対象と範囲」の差でしかありません。そのため、メンバーが PM に答えを求める行為は、自分の責任範囲の放棄になってしまうのです。

※補足:もちろん、部長にしかできない仕事、社長にしかできない仕事はありますので誤解なきようお願いします。ここでは極端に論点を絞った違いを強調しています。

常に「批判的な仮説」を持って、 AI や PM に向き合う

では、私たちは AI や PM とどう対峙すべきなのか。

結論を言えば、常に自分の考えに対して批判的な目線を持ち、「自分のこの持論 (仮説) に、穴や見落としはないか?」を検証するために彼らと向き合う、ということです。

もしこれを、「自分の主張を通すための、都合の良い答えの補強」として使っているのだとしたら、それは見直すべきかもしれません。

  • 「 AI もこう言っているから、私のこの持論は正しい」
  • 「 PM が良いと言ったから大丈夫」

と、自分の選択の言い訳 (免罪符) にするために彼らを使うのは、ただの独りよがりであり、責任の放棄になってしまいます。

そうではなく、自分の仮説をさらに強固にするための「検証ツール」として、彼らの脳みそや出力を徹底的に使い倒す (壁打ちする) のです。

スピード感を持って自分なりの「仮説」を組み立て、そのプロセスには「オーナーシップ」を持つ。その上で、自分より広い責任の範囲を持っている PM に「この仮説で進めたい」とぶつける。これこそが、プロフェッショナルとしての正しい仕事の進め方だと私は信じています。

最初から「答え」を教えてもらうためだけに声をかけるのを、今日からやめてみませんか? 私たちが主戦場とするクラウドの世界は、日々ベストプラクティスが塗り替わる、不確実性に満ちた世界です。最初から用意された「絶対的な正解」など、どこにもありません。

だからこそ、最後にもう一度、この言葉を投げかけます。

答えを持つな。仮説を持て。

自身の選択に責任を持つそのスタンスの差こそが、 AI 時代に「プロフェッショナルとして求められ続ける人」であり続けるための、唯一の境界線だと、私は考えています。

編集後記:このブログの「種明かし」

最後に、少し実験的な種明かしをしてこのブログを締めくくろうと思います。

実は、この記事の執筆プロセスの大半は、 AI との「壁打ち」によって行われました。かかった時間は1時間ほどです。

もちろん、最終的な文章の体裁を整えたり、細かい言い回しの手直しや自分自身の言葉への微調整は私自身の手で行っています。 ここにかかった時間も1時間ほどです。

しかし、ベースとなる論理の組み立てや対比の構造といった骨格部分は、 AI と徹底的にディスカッションを重ねて出力されたものです。

「 AI にブログを書かせるなんて、それこそ思考停止の『答えの要求』ではないか?」と思われるかもしれません。

しかし、私の中に「こういう思想を伝えたい」「こういう対比構造で世間に問いかけたい」という強い仮説オーナーシップがあったからこそ、 AI は私の「劣化コピー」ではなく、「思考のブースター」として最高のパフォーマンスを発揮してくれました。

AI に使われるか、 AI を使い倒すか。 その答えもまた、あなた自身が「仮説」を持っているかどうかに懸かっています。

本記事があなたの変化のきっかけに、少しでもなれば幸いです。

横山雄一朗(執筆記事の一覧)

2024年2月、中途入社。ネコとテニスが好き。