タスクフォースの一員として社内制度を作ってみた話

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技術2課のタムラです。

前回、With COVID-19 でサーバーワークスで確認できたコミュニケーションの変化を以下blogでずらずらと紹介しました。

元からテレワークが当たり前だった会社がフルリモートになって変わったこと | 株式会社サーバーワークス's Blog https://www.wantedly.com/companies/serverworks/post_articles/236762

今更「実は他にも...」と言い出すつもりではないのですが、業務のコミュニケーション以外でも当然、様々な変化がありました。

「新しい生活様式」やら「ニューノーマル」は勿論、以下 代表大石のblogより抜粋となりますが http://blog.serverworks.co.jp/ceo/?p=919

社内では「Survive and Revive」といったアクションプランが策定されています。

  • Survive:今はとにかく緊急事態。徹底的にダメージを減らし生き残ることを最優先する
    • 社員、パートナー、ご家族の健康を最優先する
      • 会社でクラスターを作らない(出社の原則停止)
      • 物理的なイベントをキャンセルする
    • 生産性の低下を防ぐ
      • フルリモートワークが長期に続く前提でオペレーションを行う
      • 強制的なリモートワークのための必要な補助を行う
  • Revive:今後生まれる新しい市場を開拓し、更なる成長につなげていく

その活動を担う組織の1つに「タスクフォース」というものがあります。
辞書によると特殊任務を持つ機動部隊みたいな意味らしいですね。

タスクフォース

サーバーワークスでのタスクフォースは、所属している部署やらチームやら役職とか関係なく、通常業務外の特殊ミッションに取り組むために結成される少数チームのようなイメージとなります。

本来の業務優先での活動を基本としつつ、特に重要なものは一定の時間を確保して取り込む場合もあります。基本的にやりたい人の募集をかけて集まったメンツで構成されるのですが、継続的なものに関しては期ごとにメンバーを入れ替えながら回していくようなものもあります。

社内Slackでは tf- という接頭辞から始まるチャンネルでやりとりされているのですが、さっき検索してみたら 150チャンネル以上も...ありましたね。

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例えばですが以下のようなタスクフォースがあります

  • フルリモート前提での働き方の改善
  • 社内利用ツールの改善
  • 今後需要が高まるであろう技術やらスキルを有識者が展開するような活動
  • 採用活動の改善
  • 教育/オンボーディング

私は今期オンボーディングのタスクフォース(tf-on-boarding)に所属していたりするので、今回はそこでの活動を一例として紹介出来ればと思います。

他のタスクフォースの活動も気になりますね?
きっとメンバーの誰かが追ってblogを書いてくれる事でしょう。ご期待ください。

オンボーディングタスクフォースとは

Joinされた方(中途入社員)が、サーバーワークでの働き方に速やかに慣れて活躍頂くためにやるべき事をやるといったタスクフォースです。

人の組織はAWSのインフラのように簡単かつ自動的にスケールアウトなんて出来ないので、 「スクラム採用をしたのなら、スクラムオンボーディングが必要でしょう」 といった考えのもと、既存社員を良い意味で巻き込みながら仕組みで解決したり、時にメンバーが泥臭く動き回ったりしています。

特に今期は With COVID-19 という特殊な状況下であったので、従来実施していた入社1ヶ月間の東京オフィスでの研修期間というのもなく既存メンバーと対面で会話できような機会を作ることが出来ませんでした。

私自身も入社当初、東京オフィスにあるリフレッシュルームとかで業務外の話とかで気さくに話しかけてくれる方には大きく助けられ、今でもとても感謝していたりするのですが、そのような機会がそもそもないって事を想像するとなかなか考えさせられます。

そんな感じに今までオフィスで偶発的に発生していたコミュニケーションに頼れず、ぽっかりと穴が出来てしまっているような状況だったので、以下2点を軸にリモート前提でのオンボーディング最適化が今期タスクフォースでは急務でした。

  • コミュニケーション(雑談含む)
  • カルチャーフィット

タスクフォースメンバーと機関

今回のタスクフォースメンバーは、ミニマムに構成されて伊藤、山崎、田村 の3人をコアメンバーとして 主体的にタスクをこなしつつ、その中で2人以上の承認が出たら前へ進める事が出来るという形としました。某漫画の某システムを模した感じですね。

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かといってただの多数決ではなく1人でも否認が出たら、その理由はきちんと受け止めて微調整したりよりよいアプローチを探ったりとそこは適宜柔軟にといった感じです。

そんな3人もただの人間なので変に暴走しないように、上のレイヤーとして複数組織のマネージャー(太田、玉木、千葉) にレビューやら助言をもらい、最終ジャッジをしてもらうような機関としました。

あえて意見が対立しそうなコアメンバー (※仲は良いですよ、多分)

個人的にこのミニマムでちょっと過激な組織がとても良く機能したと感じているので、忘れる前に少し詳細を書き残そうと思うのですがコアメンバーの3人は世代やら経歴やら考えも全て微妙に違っているのが特徴でした。

3人に共通していたのは以下の点ぐらいでしょうか?

  • 自発的に行動できる
  • 常に自分の意見をしっかりと言える
  • 会社を良くしようという気持ちを持っている

サーバーワークスには、「否定しない」「まずは聞く」といった文化があり、それは文字としても表現されていたりするのですが、解釈の問題で時にその「否定しない」というワードだけがひとり歩きして異なる意見を持っていても、否定せずそのまま流してしまうような事があるようにも感じます。

「否定から入らない」といった表現のほうが好ましいのかもしれませんね

個人的には寧ろ「否定しない」で話を聞いた後、その意見を尊重しつつ「反対意見があればきちんと言える」事が一番大切なのかなと感じており、今回のチームはそれが出来ていたのでぶつかり合いながらもそれぞれが持ち得ない考えの良い部分を取り入れ合いながら前へ進め、気持ちよく仕事ができました。

常にスピード感を意識したタスク捌き

コアメンバー同士のやりとりは効率重視でTrelloというカンバン形式のタスク管理ツールを利用して管理し、タスクやらアイディアのカードをバンバン作ってはカード内にラフにコメントを書いてはレーンを移して進めました。

TrelloやSlackだけで意思疎通がしんどい内容は適宜、話をしたい人がリードしてスポットでミーティングの予定を入れ進めるような形とし、打ち合わせ前には事前にTrelloの対象カードに各々の考えを一旦カードに書かせてから臨むようにしたので、無駄だと感じた打ち合わせの時間は1回もなかったです。

マネージャー含むタスクフォース全体の定例ミーティングは隔週1hとし、次の定例までにやるタスクをスプリントという区切りで、ラベル付けしてファシリテーターが若干煽りながら進めました。細かな取り組みまでは書ききれませんが、ざっくり以下のようなタスクを本業を優先しつつもスピード感をもって進められた小規模の良いチームだったのかなと振り返って思います(まだ終わってないですけど)

  • リモート前提オンボーディングでの問題点洗い出し
  • 研修内容の見直し/改善
  • トレーナー制度の見直し/改善
  • 研修制度の全社展開
  • 制度づくり
  • タスクフォースメンバーによる社内カルチャー発表LT
  • リモート雑談の改善 *1

社内制度

そんな様々な活動の中の1つしてサーバーワークスに新たな制度を作ってみました。
制度の名称は、「中途入社員向け 入社3ヶ月打ち上げ制度」です。

簡単に概要だけご紹介ですが Joinされた中途入社員が対象で、入社して1クール(3ヶ月)のタイミングに会社の費用負担で「打ち上げ」のような飲食を1回実施できる"権利"が与えられるというものです。

権利というのがポイントで行使については本人の意思にすべて委ねられ、義務でも強制でもなく、その権利も入社4ヶ月で失効する事としています。

ご時世なので当然、リモート飲み会にも対応し、ご自宅に"宅飲みセット"のようなものを会社手配でデリバリーするサービスも活用できます。 ※別のblogで誰かが紹介してくれる予定です

制度を作るまで

会社のオンボーディング課題について、社員に聞き込みをして問題点を洗い出した資料から派生し、こんな制度が欲しいと自身の経験からアイディアを出し、Trelloボードにこんな制度を作りたいんじゃとカードやら原案マインドマップを作り提案しました。

それをコアメンバーの2人に良い意味で叩いてもらって、マネージャー陣に上げては微調整の意見をもらって原案はブラッシュアップされていったのですが、私のやりたい事やら譲れない部分は尊重されきちんと残り、(反省すべき)私の提案固有のトゲトゲしさや荒っぽさの角がとれ、万人受けする単純に良いものに仕上がっていったように感じます。

その後、経営会議で以下の点を説明する10スライド程度のプレゼン資料を簡単に半日程度で纏めました。

  • 何をするのか
  • なぜ必要なのか
  • 期待される効果

そして経営会議へ

私はただ作った資料をマネージャーに「おなしゃす」と託して提案して貰っただけですが、その日中に承認されて社内Slack経由で「承認!」と連絡頂きました。 早い。。。 ちゃんと検討したのかこっちが心配になりますね

来期から開始のつもりで提案したのですが、むしろ今期入社員から適用してくれぐらいな感じになり、慌てながら対応中です。 実際に制度作りたいと声をあげて動き始めてからは、半月ちょっとぐらいでしょうか。

制度作り手の思い

転職を経験し、入社3ヶ月ぐらいの時期というのは過去の職場環境の色を残しつつ、新しい環境の色にも染まりきっていない端境期のような少し特殊な時期であり、そんな時期を狙って社長面談もセッティングされていたりします。

エンジニア職を例にすると技術研修を終え、最初に関わる実務の案件が一段落する頃合いでもあり 色々な意味で一区切りだったりもするのですが、そこで祝ったり考えたり振り返ったりするような既存の会社イベントは存在せず、偶発的なものに頼りきっていたのでアプローチの1つとして新たに作ったものとなります。

この制度で提供したいのは、もちろん費用なんかではなく近しいメンバーとの交流のきっかけやその時間です。お祝いだったり、反省だったり、激励だったり、タイミング的にも人によって色々あるかと思いますが、かといって周りの既存社員からただ労われるだけでない"何か"が欲しかったので、そんな細かなエッセンスも詰め込んでいたりします。

多くの社員に認められ愛される制度になるかまでは不明ですが、まずはやってみてフィードバックを貰いながら改善していきたいなと思います。

余談

この制度、実は自身の体験がベースとなっており、その要素を大量に盛り込んでいます。 私自身もオンボーディングに苦戦した1人ですが、入社3ヶ月ぐらいで初めて受け持った特別な案件が無事検収という形で終わった頃に、某マネージャーに新宿のホルモン焼きに連れていってもらった事があり、それがモデルとなっています。(スケジュールなりお店等の手配なり細かいセッティングは私がしました)

この制度は他に比べ予算が少し高く設定されていたりするのですが、その理由は「新宿で飲み放題2hつきでホルモン焼きが食べれる事」がどうしても譲れない条件だったからというのが設定背景にあったりします。(別に無理してホルモン焼きを食べなくて良いですが)

Tips. このエントリーを読んでサーバーワークスに興味を持ってくれた方は、面接とかで「入社したら新宿でホルモン焼きを食べられる権利が与えられると聞いて...」とかいったらややウケするかもしれません。(しなくても責任はとれません)

感想

私は前職が大企業でしたし、技術職でもあったのでまさか自分で会社の制度を作る日が来るだなんて夢にも思っていなかったのですが、いざ実際に作ってみると会社(サーバーワークス)で制度作るのって意外とチョロいなって思いました。

次は、tf-sauna でも立ち上げて「サウナワークスタイル制度」や「コーワキングサウナ付きサテライトオフィス導入プロジェクト」を提案してみようと思います。

*1:過去に以下blogで倉田が紹介したRemoとかを活用した雑談系イベント開催 | 記事はコチラ